3 ページ40
「初めて吸う」
「なら気をつけんと、咳き込むで」
「一応これの吸い方知ってるし、大丈夫」
Aはタバコを口に咥え慣れた手つきで火を付ける
その様子から結構吸いなれてるんだな、と察することは容易だった
「なんで普段は吸わんの?」
そんな疑問を持つのは至極当然のことで
「タバコの煙嫌いだから。自分で吸う分にはいいけど、副流煙が嫌いなんだよ」
「あー、だから昼間だと人たくさんおるから行かんのか」
「うん」
短い返事を返し、Aはショートピースをゆっくりと、気をつけるよう慎重に吸う
Aは口の中で煙を転がし、じっくりと味わってから息を吐いた
「噂通りだね、これ」
滅多に高タールのタバコを吸わないAにとってはキツイらしく、二、三回吸ったところで苦々しい顔をしながらギブアップするかのように舌を出す
「ギブアップ?」
「ギブアップ。ロングピースすら慣れるのに時間かかったんだよ?今はこれ以上無理」
舌に味がまだ残っているため、うげぇ…と舌を出したまま彼女は横にあったお茶を飲む
その様子にもうショートピースに慣れた……とゆうより取り憑かれたショッピは自分も始めはこうだったな、なんてことを思い出しながらタバコの火を消した
「もういらんの?」
「うん、もういいや…って、なに君は吸い終わってんの」
ジロッと長い前髪からのぞかせる薄い黄緑の瞳をショッピに向ける
この瞳は綺麗だが、黄緑色はあの人を思い出してあまり良い気分にはならない
「ほら」
Aに向かって手を差し出す
「……?」
「タバコ」
「え、あぁ…はい?」
Aは語尾にハテナをつけながらも素直に手に持つタバコをショッピに渡す
そしてショッピは受け取ったソレをそのまま口に含んで吸い出した
「これの旨さが分からんようじゃ、駄目やな」
してやったりな顔をAに向けるショッピ
Aは何か言いたげな顔をするが、諦めたのか溜息をついて下にしゃがみこんだ
「別に知りたい訳じゃないし」
「子供やな」
「黙れや」
軽口を言い合う二人は傍から見たらとても仲がよく見えて、むしろそれ以上に見える
本人達もお互いをお互い一番仲がいいということを理解しているため、こんなにも気が抜けているのだ
また両者とも感情表現が多い方でなく、二人とさして仲がよくない人間にとっては冷たく見られがち、ということもお互い分かっている
だからこそ気が合うのだろうか
「本当ピッタリだね、ショッピ」
184人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
百瀬のえる(プロフ) - 25歳shpおじさんとjkちゃん狂おしいほど好きです先生生徒好きは実はここ発祥ですjkとshpの組合せンァ゛゛゛゛ (2020年10月8日 1時) (レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - えなさん» ありがとうございます!そう褒めてくださるととても嬉しいです…!まだ続編は決めてませんが、そのときはまた見ていってくれると嬉しいです(*´ω`*) (2019年3月8日 10時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
えな(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。貴方様の綴る物語が大好きで、短編の中にも夢主ちゃんの想いや情景が繊細に書かれていて読みながらとても心を動かされています。別作品もあってお忙しいとは思いますが、次回作があるのであれば心からお待ちしております…! (2019年3月8日 3時) (レス) id: 4d21cb4889 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 柚さん» ありがとうございます!カクテルは自分の中でも一番良作だと思っているのでとても嬉しいです。期待に添えるよう、頑張っていきますね! (2019年3月3日 2時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - 素敵です…特にカクテルの話が好きで何回も読み返してしまいます。これからも頑張ってください!! (2019年3月3日 0時) (レス) id: db3c90213f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夜有 | 作成日時:2019年2月19日 14時