3 ページ32
口角を上げてニヤリと笑う姿は、なんともまぁ大人の色気というものを感じ取ってしまう。
だけどその余裕そうな顔は気に食わない。
「おじさんはズルい」
「知らへんなぁ」
「2度目、それ」
煙草はまだ消えていないが、きっと部屋に戻ったらすぐに消すと判断がつくほどには短くなっている。
「そんなんなら、私、友達と行っちゃうよ」
「別にええんちゃう？」
ムスッとわざとらしく頬を膨らませてやれば、気にする様子もなくそんなことを言ってくる。
「だけど、行く前はちゃんと言えよ？」
「意地悪なおじさんに伝えるの、なんだかな」
顔を逸して目をつぶる。
このなれない匂いは耐えきれない。
「駄目やろ、それだと……」
次の瞬間、顔に煙を吹きかけられたのか一気に匂いが強くなって、噎せながらショッピさんの方を見てしまう。
「これ、できひんやん」
そう言って笑う姿は妖艶で。
ああ、なんて酷い人なんだろう。
「馬鹿」
軽く服を嗅いだらあれだけで匂いはついてしまって。
きっとそれの意味はあっちじゃなくてこっち。
「もうすぐ朝やから、深い意味やなくてそのまんまやで。分かるやろ、お前なら」
「ズルい」
子供みたいな反論しかできない私なんて、やっぱりガキなんだ。
「酷い」
顔に手を当てて隠すようにする。
今、自分はどんな顔なのか。
「さっきまで綺麗やったけど、今は可愛いな」
それなのに無理矢理手を掴んて私の顔をのぞき込んでくるこの人は、悪趣味だ。
「どっちがお好みですか」
「それ、言わすん？」
ギュッと顔と顔の距離が近くなる。
だけど私はそれに慌てずに、深呼吸して落ち着いて顔を元に戻して。
「くらくらするくらい、教えて？ショッピさん」
笑うなんてしてやんない、私も貴方を覗いてやる。
「……わざと、やろ」
「私はいつでも、こうやって呼んでます」
「うまいわ」
冷たい指で私の首筋をなぞる。
くすぐったい。
「早く、ここに残せるようになるのを待っとるな」
とんとんって首筋を軽く叩いて、耳元で囁いてくるのはどう考えても子供扱いとは思えず。
「おやすみなさい、おじさん」
「おやすみ、起きたら買い物行くでな」
案外ショッピさんの分かりやすい独占欲と嫉妬。
どうやら友達といくなんてことはさせてくれないようだ。
やっぱり、ショッピさんはズルい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 184人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
百瀬のえる(プロフ) - 25歳shpおじさんとjkちゃん狂おしいほど好きです先生生徒好きは実はここ発祥ですjkとshpの組合せﾝｧ゛゛゛゛ (2020年10月8日 1時) (
レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - えなさん» ありがとうございます！そう褒めてくださるととても嬉しいです…！まだ続編は決めてませんが、そのときはまた見ていってくれると嬉しいです(*´ω`*) (2019年3月8日 10時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
えな(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。貴方様の綴る物語が大好きで、短編の中にも夢主ちゃんの想いや情景が繊細に書かれていて読みながらとても心を動かされています。別作品もあってお忙しいとは思いますが、次回作があるのであれば心からお待ちしております…！ (2019年3月8日 3時) (レス) id: 4d21cb4889 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 柚さん» ありがとうございます！カクテルは自分の中でも一番良作だと思っているのでとても嬉しいです。期待に添えるよう、頑張っていきますね！ (2019年3月3日 2時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - 素敵です…特にカクテルの話が好きで何回も読み返してしまいます。これからも頑張ってください！！ (2019年3月3日 0時) (レス) id: db3c90213f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜有 | 作成日時：2019年2月19日 14時
