気づくのはいつの日か ページ28
朝、目が覚めると見慣れた天井がそこにはあった。頭が痛い、昨晩の飲み会で飲みすぎたんだと思い出す。
__あれ、俺どうやってここまで帰ってきたんやっけ?
確か会社の飲み会のあと、他の人と次の店に行ったことは覚えている。そのときはまだ酔ってなかったし、記憶もきちんとある。だが、それ以降が全くもってない。
痛みを訴える頭を手で押さえながら上半身を起こす。しかしなんだか寒いな……最近は気温高くなってきとるのに。
押さえていた手でボリボリと頭を掻き、俺は自分の体を見る。起き上がったら布団もめくれるし、見えるのは当たり前だ。だが、俺は信じられない光景を目に入れることになる。
「な、んで裸なんだ……?」
俺は酔ったら脱ぎ出す露出狂ではない。なんとなく、なんとなくだが嫌な予感が頭をかすめる。言葉にはしなかったが先程から感じる横の謎の暖かさと物体。見たくないのに、俺の目は勝手に動く。
そこには、同じく裸の、女の後輩、Aがいた。
やらかした。もうそれしか言えない。すやすやと化粧を落としたのか、いつもより幼く見えるその顔にときめきながら布団を被せる。彼女の健康的な肌に合わない噛み跡や鬱血痕があったのを見ないふりしながら、だが。
そしてベッド横のゴミ箱を見れば使用したゴムがそこにはあった。
「やっっべぇ……!」
記憶が全く持ってない!確かに俺は後輩のAを可愛がっていたが、だからこそ酔って手を出したとは考えたくもない。こんなの最低な先輩どころか男ではないか!どこぞの大先生のような男にはなりたくない!!
「ん…むぅ……?あ、おはようございます……」
「お、おはよう」
そんなふうに俺が考え込んでいると、Aは目が覚めたのか俺に挨拶をしてくる。その様子はいつも通りで、俺もおはようと返した。
だが、Aは俺に違和感を覚えたのか眉を顰め、見惚れるような漆黒の瞳でこちらを覗きこんできた。次には布団で体を隠したまま同じく起き上がる。
「先輩……もしかして記憶ありませんね?」
「……すまん」
彼女はピンポイントで俺の今の状態を見抜き、言葉にする。恐らく青くなっているだろう顔でそれに同意する意味の謝罪を答えた。
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百瀬のえる(プロフ) - 25歳shpおじさんとjkちゃん狂おしいほど好きです先生生徒好きは実はここ発祥ですjkとshpの組合せンァ゛゛゛゛ (2020年10月8日 1時) (レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - えなさん» ありがとうございます!そう褒めてくださるととても嬉しいです…!まだ続編は決めてませんが、そのときはまた見ていってくれると嬉しいです(*´ω`*) (2019年3月8日 10時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
えな(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。貴方様の綴る物語が大好きで、短編の中にも夢主ちゃんの想いや情景が繊細に書かれていて読みながらとても心を動かされています。別作品もあってお忙しいとは思いますが、次回作があるのであれば心からお待ちしております…! (2019年3月8日 3時) (レス) id: 4d21cb4889 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 柚さん» ありがとうございます!カクテルは自分の中でも一番良作だと思っているのでとても嬉しいです。期待に添えるよう、頑張っていきますね! (2019年3月3日 2時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - 素敵です…特にカクテルの話が好きで何回も読み返してしまいます。これからも頑張ってください!! (2019年3月3日 0時) (レス) id: db3c90213f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜有 | 作成日時:2019年2月19日 14時