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「だけど……その、シャオロンさんの隊って……副隊長いませんよね？」
心臓がバクバクとうるさく鳴り響く。
戦場に向かう人間が、今いないということは大抵はそういう意味で。まさか、と思いつつどうか杞憂であってくれと願いながらシャオロンさんを見る。
「五年前の戦争の時。あん時はすっごい戦いやったわ」
五年前に起きた戦争。
それはこの戦争国家である我々だ国以外にも、未だ色濃く残っている最悪な戦争だったと聞いている。
それはこの国の教育でも習うほど大きい戦争で、その時はまだ一般兵であった俺もあの酷さが体に刻まれていた。
「詳しいことは省くけどさ。あいつは特に前線に出とったから。強かったのは確かやったけど、ただじゃ流石にすまんくってな。戻ってきたときは重症やった」
彼の普段輝くような黄色の瞳は薄暗く曇り、光が消えてしまっていた。地雷だったことは聞く前から予想できたのに、どうして聞いてしまったのか。
今更ながらに後悔する。
「超人的回復力があいつのウリやったんやけど。右目だけはどうにもならんくって。一ヶ月寝たきりだったんやで？それでも生きていたのはやっぱ凄いわ」
悔しそうに眉をしかめる彼になんと声を掛ければいいのか俺には分からず、黙って聞き続ける。
「うちは近接戦闘を主としているから。片目が見えなくても戦えるだろうけど、それで不利になる状況を作るのは本意じゃない。それに体力も戻らないそうだからって、いつの間にかいなくなってた」
＿＿グルッペンに聞いても教えてくれんし、しばらく探したのに隠れるのうまいからか見つからんしよ。
顔に影がかかり表情はうまく読み取れないが、わざわざ確認しようとする気にもならなかった。
「……辛いこと聞いちゃって、すいません」
「いやいやいや、ええんやって。それに死んだわけじゃないしな。まぁ生きてくれてたらって。会いたい気持ちはある…けど」
「…っすね」
「でも俺はアイツ以外を副隊長にする気はないけどな」
先程までの声色とは変わり、明るい声と顔を俺に向ける。いつも通りの明るい瞳に戻ったことに少し安堵し、お礼をしながら写真立てを返した。
その後は重たい空気を変えるためかシャオロンさんの昼飯の提案によってその話は終わる。
その日の晩はあの瞳が忘れられず、なかなか寝付けなかった。
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百瀬のえる(プロフ) - 25歳shpおじさんとjkちゃん狂おしいほど好きです先生生徒好きは実はここ発祥ですjkとshpの組合せﾝｧ゛゛゛゛ (2020年10月8日 1時) (
レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - えなさん» ありがとうございます！そう褒めてくださるととても嬉しいです…！まだ続編は決めてませんが、そのときはまた見ていってくれると嬉しいです(*´ω`*) (2019年3月8日 10時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
えな(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。貴方様の綴る物語が大好きで、短編の中にも夢主ちゃんの想いや情景が繊細に書かれていて読みながらとても心を動かされています。別作品もあってお忙しいとは思いますが、次回作があるのであれば心からお待ちしております…！ (2019年3月8日 3時) (レス) id: 4d21cb4889 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 柚さん» ありがとうございます！カクテルは自分の中でも一番良作だと思っているのでとても嬉しいです。期待に添えるよう、頑張っていきますね！ (2019年3月3日 2時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - 素敵です…特にカクテルの話が好きで何回も読み返してしまいます。これからも頑張ってください！！ (2019年3月3日 0時) (レス) id: db3c90213f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜有 | 作成日時：2019年2月19日 14時
