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運命なんて ページ17

オメガバースパロ



夜、目が覚めると腕の中には愛おしい恋人がいた。

彼女の項には痛々しい噛み跡。寝る前に俺が俺のものだと再確認するためにつけたものだ。
そっと跡を撫でれば、確かに今だけは俺と彼女しかいないこの世界に安心する。


「ん…」

「あ、すんません。起こしました?」

「だいじょうぶです…」


眠たげな彼女の声は成人してるとは思えなく甘えた声をしており、また愛おしくなって彼女を抱きしめる力を増やした。そして首元に顔を埋めてグリグリと押し付ける。


「ふふ、どうしたんです?くすぐったいですよ」

「……ねぇ、Aさん」

「?」

「アンタとの子供が、ほしい」

「……ごめんね」


子供のようなわがままを言えば、Aさんは俺の頭を母親のように優しく撫でる。それがなんとも悔しくて、苦しくて。


「それは、いつか会えるかもしれない、運命の人と」


泣きそうな声が前から聞こえた。あぁ、ちゃうねん。アンタを泣かせたいわけじゃない。


「俺にとってはアンタが運命の人やねん」

「それでも生物的に、科学的に証明されている方が優先されるんだよ」


俺の頭を撫でる手は震えていた。ポツリと俺もAの首元を濡らす。

ただ、俺達は二人でいたいだけやのに。

運命の人とやらに会ったら、この関係はなかったことになってしまうのか。

そんなの、嫌だというのに。


「せめて私が男だったらそばにいてもおかしくなかったんですけどね」


ごめんね、なんて何も悪くない彼女が謝る。悪いのはこんな仕組みにした神様とやらなのに。


「まぁ…運命の人が現れるまでは一緒にいてくれませんか?」


彼女は今にも泣き出しそうなくせに、明るくちょけた声を出した。


「好き、愛しとる」

「……私も、心の底から」


Aの項に再び噛み付く。血が出るほど強く、乱暴に。


「ベータとか全く面白みないよね」


こちらへと寝返り俺の噛んだ跡を嬉しそうに、だけど泣き出しそうな顔で笑いながらそんなことを言うAに胸が締め付けられた。


「アルファの方がつまらん」

「ふふ、そうかも」

「そうっすよ」


二人でクスリと笑い、その後目を見つめ合ってキスをした。

荒々しい、お互いを求めるかのようなキス。

運命の人なんていらない、俺には目の前のコイツだけで充分なのだ。だから神様、この今の俺の幸せを奪わないでくれ。








ただ俺らは二人で幸せになりたいだけなんだ。

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夜有(プロフ) - 百瀬のえるさん» ありがとう御座います!いつかまた会えるときが来ましたら、そのときはよろしくお願いします。 (2021年1月1日 23時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬のえる(プロフ) - 更新ありがとうございました!大好きです!!お疲れ様でした! (2021年1月1日 23時) (レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - はい!それではお願いします! (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 黒音さん» あ、いえ!その可能性も考えてたのにそこも確認してなかった私もすみませんでした。リクエスト承りました! (2019年10月15日 16時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - 返信ありがとうございます!個人的にはハッピーエンドがいいですが作者さんの書きやすい方で良いですよ(それと夢主が死んだ後の事なのですが前世の時の事です。分かりづらくてすみませんでした) (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜有 | 作成日時:2019年4月7日 22時

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