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後悔_リクエスト:八雲様 ページ13

「叶う余地はあるのか」のIfendです。



後悔しない選択をしろと俺の先輩は言った。

そのときはそんなん当たり前でしょと適当にあしらったことを覚えている。

あぁ、ホンマ嫌な先輩だ。


「選択には鮮度がある」


ミンミンとうるさいセミの鳴き声は俺の心拍数はごまかせず、灼熱の太陽は俺を焦がすかのように熱く照らす。


「間違えたらきっと即アウト」


ギリギリと締め付けるかのような痛みは、贖罪と救済を求めて泣き叫ぶかのように俺の心臓に傷をつけてくる。

だがきっとこんな痛み、あのとき負ったAよりかはマシなのかもしれない、と分かるはずもないただの自己満足な考えに俺は震える口で笑った。


「もしあの日に戻れたなら」


それはとても幸せなことなんだろう、少なくとも俺にとってはこの生き地獄から逃げ出せるのだから。

甘いような辛い間違った選択はくらりと俺から視覚情報を奪わずに現実を見つめろと喝を入れてくる。


「好きやって、言ったら怒る?」


むしろ怒ってくれ、そして笑って俺に抱きついてくれ。

お前の柔らかい体を抱きしめたい、触り心地の良い髪に触れたい、願うならばその先立って。

触れて、抱きしめて、キスをして、その後は二人で笑い合いたい。


「遅いよなぁ」


あの日から消えた連絡からやっと見つけた今日、Aは俺の大嫌いで尊敬している先輩に抱き締められていた。

あぁ、セミがうるさい。


「ホンマ、なんで俺間違えたんやろ」


痛い、痛い、心臓が痛い。

木の裏に隠れれば二人から俺は見えない、だから二人きりの世界で彼らは愛を確かめ合った。


触れて、抱きしめて、キスをして、そして笑い合って二人は好きと伝え合って。

ごめんなさい神様、きっとこれは俺への罰なんすよね?じゃなければこんなにも夏のくせに体が冷える感覚に襲われるはずもない。


「奪われる前に攫えば良かった」


よりにもよってAを掴んだのがアンタなんて、きっと運命の神は俺のことが嫌いなのだろう。

遅い、遅いんや今更。

俺が苦しむのはお門違い、だけども今だけは許してくれ、これからはもう泣かへんから。


「好き、好き、大好き」


俺を呼ぶ声が、俺を見つめる瞳が、俺に駆け寄ってくれる足が、俺といてくれた君が。

先にあの関係を崩したのは俺なのに、こうやって一人泣いてると知ったらAはなんていうのだろうか。

きっと、馬鹿って怒るんやろうなぁ。


そんで、笑って俺の手を掴んで引っ張ってくれて……

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夜有(プロフ) - 百瀬のえるさん» ありがとう御座います!いつかまた会えるときが来ましたら、そのときはよろしくお願いします。 (2021年1月1日 23時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
百瀬のえる(プロフ) - 更新ありがとうございました!大好きです!!お疲れ様でした! (2021年1月1日 23時) (レス) id: 90299a5c54 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - はい!それではお願いします! (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)
夜有(プロフ) - 黒音さん» あ、いえ!その可能性も考えてたのにそこも確認してなかった私もすみませんでした。リクエスト承りました! (2019年10月15日 16時) (レス) id: 93b15b9a53 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - 返信ありがとうございます!個人的にはハッピーエンドがいいですが作者さんの書きやすい方で良いですよ(それと夢主が死んだ後の事なのですが前世の時の事です。分かりづらくてすみませんでした) (2019年10月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 11da0246b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜有 | 作成日時:2019年4月7日 22時

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