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はじめ side
は「Aさん、服買いに行こう」
朝食が済み、一息ついた時に俺は声をかけた。
なぜなら彼女は服を持っていないからだ。
「分かりました。バイト始めたら、お金返しますね!」
しっかりしているが……俺的には働かなくていいと思うけどまだ友達みたいなものなので止めることはできない。
だが、ここは男としてプレゼントしたい。
どんなものでも買う気でいた。
「以上で!」
俺の経験上、女性はブランド物が好きで高いものに身を包めば包むほど美しくなると思っていた。
だがAさんは、違った。
誰でも手に入れられるようなコスパのいいもので、俺好みの女性に変身した。
「どうです?」
ご機嫌なAさんが、着ている服を見せる。
は「……好きです」
「何を言ってるですかっ」
笑いながら顔を赤らめて、俺の腕を優しく叩く。
少し恥ずかしがってるのが可愛い。
は「あとは下着……えっと、お金渡すので買っておいで」
「分かりました〜、ちなみにどんなのが好みですか?」
エッ。
(色んな意味で)考えた瞬間、冷や汗が出た。
は「は、派手過ぎないのがいいと思います」
動揺しながら俺は、なんとか答えた。
分かりました〜と下着売り場に行ってしまった。
ベンチに座り、ため息をつく。
どんなAさんでも可愛く見えて謎に体力を消耗している。
は(……俺は、Aが好きなのか?)
顎に手を当てる、と。
?「すみませーん、はじめしゃちょーですか?」
と、女性2人組に声をかけられる。
まずい、と俺はとっさにAさんを見つけて、アイコンタクトする。
Aさんは頷き、店の奥に消えた。
は「あ、そうですよ?」
女1「ファンです!ずっと前から好きで……」
女2「私もです!メインも畑もいつも楽しく見てます!」
は「はは〜ありがとうね!」
女1「写真いいですか!」
女2「握手も、サインももらっても……」
2人が興奮し、声が大きくて俺の周りに人が集まってきてしまう。
くそッ、変装にマスクとキャップをしててもばれてしまうのかっ……!
せっかくのAさんとの、デートなのに……!
は「じゃ!俺はこれで失礼するよ!」
逃げるようにそのベンチを離れ、駐車場に向かう。
Aさんには、前に最悪の場合を説明していて状況を理解していると思うので後でまた連絡する。
ただ、これ以上騒ぎになることは避けたかった。
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作者名:999 | 作成日時:2019年6月4日 2時