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はじめ side
Aが寝てから1時間半。
時間は0時を超えた。
起こさないように布団から離れようとするが、Aが俺の浴衣を掴んじゃって動けない。
幸い、近くにパソコンがあったから編集はできるけど……。
カシャ、と小さくシャッター音が響く。
は(記念、記念と)
1枚のつもりが20枚くらい撮ってしまった。
Aの綺麗な髪を撫でて、おでこにキスを落とす。
は「……好きだよ、A」
静かな部屋に自分の声だけが響いて、小っ恥ずかしくなって編集を始める。
隣でスヤスヤ眠るAは次第に俺の腕にかぶりついた。
は「いっ」
子犬の甘噛み程度の痛み。
時々モグモグするから夢でも見てるのかな?
可愛いAをエネルギーにして頑張って編集をした。
編集が終わったのは4:00。
ここを出るのは7:00だ。
は(まだ少し眠れるな……)
俺は布団に潜り込む。
「はじめ、さ」
は「ん?」
Aに呼ばれて見てみるが、眠っている。
寝言かなと少し観察してみると、Aは俺の腕の中に潜り込んできた。
おぉ……。
スンスン、匂いを嗅いで満足そうにニヤついてまた寝息を立てる。
……可愛い。
俺はおかしくなってしまったのか。
犬じゃん、こんなの。
犬は可愛いけどそれよりも他に何か違う可愛さがある。
……天使?
Aは天使かもしれない。
俺のために舞い降りてきた?
だとしたら、俺が育ててあげなきゃ。
俺が、優しくしてあげなきゃ。
Aを愛おしく思い抱きしめる。
は(いつになったら……俺のものに……)
多分、俺は寝ぼけてたのかもしれない。
いやそれじゃ済まされないだろう。
Aの上に馬乗りにし、少しはだけていた着物の隙間から鎖骨が見えていた。
心臓の音が早くなるのを感じた。
気づいたら、真っ白の肌……鎖骨に赤い花を咲かせていた。
しかも1つではない、3つ4つある。
それを満足に眺めて、Aの唇に触れた。
チュ、と小さくリップ音がなり優しく髪を撫でた。
「はじめ、さん……」
Aはか細い声で俺を呼んだ。
「私ははじめさんのことが……好きです……」
は「え……?」
「ちゃんと、わかりました。初めての感情に、少し戸惑ったけど、好きってこういうことなんですね……」
Aは胸の前で拳を作る。
「ここが……キュってなるんです……はじめさんも、同じ、ですか……?」
は「そう、そうだよ……」
俺はAを抱きしめた。
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作者名:999 | 作成日時:2019年6月4日 2時