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急いで、Aの目を見つめる。
もしかしたら嫌な思いをして幻滅しているかもしれない。
嫌われてたかもしれない!
でもそれとは裏腹に、Aの瞳はトロンと溶けたように俺を見つめていた。
え?
……い、いや、それはまずい。
急いでAを抱き抱えて、俺のベッドに寝かせた。
「終わり……?」
は「終わり終わり、俺の理性が効いてる間にお眠り」
本当は、もっとしたい。
何ならその先も……でも。
俺はまだ、想いを伝えてないし。
Aがどう思ってるかも知らない
お酒の勢いでこんなことになってしまったとしか思えない。
俺にはいいことばかりだけど、Aは?
変なところ慎重な自分に少し感心する。
じきにスヤスヤ眠ってしまったAの頭を優しく撫でる。
は「ごめんよ」
そういって俺は自分の心の底で燃え上がる感情を確かめるために、Aのおでこに優しくキスをした。
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翌朝、快適な睡眠から目が覚めたAは布団にくるまって、顔を真っ赤にして俺を睨んでいた。
は「ご、ごめんて……」
あんなに酔っていたのに、昨日の記憶を覚えているらしく、俺の顔を見て飛び起きて朝からパンチを1発食らって散々だ。
痛む頬を撫でながら、Aに謝る。
「わっ、私も悪いから……ごめん、なさい」
顔を真っ赤にしながら、Aは謝罪した。
は「本当にごめん。俺も、我慢出来なくて」
「い、いいんですっ」
は「あのさ……嫌じゃ、ないとか……ない?」
「え……?」
は「あぁっ!ごめん忘れてくれ!あー!今日も1日頑張るかぁー!」
いかんことを聞いてしまった、と俺は慌ててその部屋を出た。
好きでもない男に、お酒の勢いでキスされて嫌な女性はいない。
誰だってそうだ、俺だってそうだ。
俺はそっと、自分の唇に指を当てた。
柔らかく、温かい……あの感触を忘れたくない。
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作者名:999 | 作成日時:2019年6月4日 2時