42. ページ42
・
「たくさん笑って、楽しませてくれた。
忘れていた笑顔も、取り戻せた。
もっともっと強くなれた。
絢乃が、こんな私に劣等感を持ってくれるなら、
今の私があるのは、このみんなのおかげなの。
私は、私だけでできてるんじゃない。
……私ね、嬉しかったんだよ？
誘われて、アメリカに留学してきて、
大好きだった友だちとも家族とも離れて、
何もかもが初めてで、
不安で仕方なかった私に、声をかけてくれたの。
絢乃はそんなつもりじゃ
なかったのかもしれないけど、
私はとても救われた。」
私は絢乃の眼をまっすぐに見つめた。
・
「…硬坂さんも、本当はわかってるんじゃない？
藍上さんの良さを。」
・
まっすぐに見つめてくる瞳。
その瞳には悪はない。
ただまっすぐに、私を見つめてくる。
……そうよ、最初に話しかけたのは、
何か悪い面を持っているんじゃないかと思ったから。
弱みを握って、
私の方がすごいって、思いたかった。
でも、関わるうちに、
Aはまっすぐな人間だって分かってしまった。
・
「……最初は敵意しかなかった。
なんでそんなに完璧なのって。
妬ましかった。
………でも、
Aは授業のあとも最後まで残って
先生に指導を受けていたり、
夜も遅くまで勉強して。
努力家だった。
そんなAが……
羨ま、しかった………」
そう言い、絢乃は静かに涙を流した。
「絢乃、
この言葉をどう受けとるかはわからない。
偉そうにって言われるかもしれないけど。
………何度でも、やり直せる。
新たな一歩、踏み出せるから。
もしまた、会えたなら。
……今度はちゃんと、
友だちになりたい。」
__________________________
その後、絢乃は重要参考人として、
警察へ連れていかれた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 676人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢桜(プロフ) - とても感動しました…！！夢主さんは友達に恵まれていますね！！ (2019年8月22日 9時) (
レス) id: 505f8e7c76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミナ | 作成日時：2019年8月17日 12時
