光を求める少女の話 【文スト】【黒の時代】【太宰治】

第五十六話＿"本" ページ18

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安吾「では今までの行動もまともな教育を受けてないからそういう行動を取ってしまうのですね」


太宰「言葉に関しては何の問題もないと思うんだけど………問題はやっぱり……」


と太宰は隣にいるAに視線を向ける
目の前にある牛乳に手を付けず、ただただ座っているだけの状況
太宰が「牛乳飲める？飲めるなら好きなだけ飲んで善いよ」と云うと飲み始めた


織田「Aは字は書けたり読めたりするのか？」


太宰「…………」


A「………………………」ﾌﾙﾌﾙ


織田の質問に太宰はAに視線を向ける
Aは首を横に降り、"無理"という意思表示をした


織田「なら此処に来れば俺が教えてやる

俺が居ない時はそうだな、本を読むと善い

本は字を覚えることに最適だ

其れに本は多種類で色んなことが書いてある

本を読むだけでも色んな事が学べる筈だ」


安吾「其れなら一冊だけですが持っています。お近づきの印にどうぞ」


A「……………」


Aは安吾から本を貰う
ギュッと大事そうに抱えるAを見て三人は嫌と感じていないと解り、ホッとした




＿＿＿
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其れからAは、家ではずっと本を読んでいた


彼女的に本が気に入ったのか肌身離さず持っており
此れが切っ掛けで少し変化が起きた


ある時、何時ものように尾崎にAを預けると……


太宰「！」


A「……………」


太宰「A？」


太宰の外套を掴み、Aはゆっくりと口を開け、小さな声で


A「…………行って、らっしゃい」


太宰「！！？」


初めて見送りの言葉を太宰に発したのだ
此れには太宰処か尾崎も驚き、目を見開く
太宰は優しくAを抱きしめ「行ってきます」と返した



夜は織田や安吾が親身になってAに字を教えたり、その意味を教えた



織田「"ありがとう"は感謝の言葉だ

相手に感謝を伝えたい時に人は"ありがとう"と使うんだ」


安吾「その反対に"ごめんなさい"は相手に許しを請う時に使う言葉です」


A「……………」


太宰「今度姐さんに"ありがとう"って云ってみると善いよ。きっと喜んでくれるはずだ」


A「……………」ｺｸﾝ


初めと比べると"自分から"行動することが多くなった
本も織田や安吾が次々にAに渡すためいつの間にか太宰の部屋にA専用の本棚が作られた

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