光を求める少女の話 【文スト】【黒の時代】【太宰治】

第五十五話＿歳 ページ17

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安吾「織田作さんは子供から好かれやすいみたいですね」


織田「そうか？」


太宰「………」


三人の中で特に太宰が一番驚いた
此れまで一度もAが"自分から"行動した処なんて見たことないのに
織田にあっさりとしてしまう処を見て、少し羨ましい気持ちとチクリと胸が痛んだ気がした


三人はいつもの定位置に座り、Aは織田と太宰の間に座らせる


太宰「マスター、私たちには何時ものを。この子には………」


安吾「こんな子供にお酒なんて駄目ですよ。この子には牛乳をお願いします」


織田「そういえばAの歳っていくつくらいなんだ、太宰」


太宰「へ？12とか其処らじゃないの？」


安吾「身長的にもそんな感じがしますが……？」


太宰「A、君いま歳いくつ？」


A「……………………15」


小さく呟くAに一瞬静まり返り、そして「はあああああああっ！！？」と太宰と安吾の声が酒場に響き渡った


太宰「じゅ、15って私と3つしか変わらないじゃないか！」


安吾「人は見た目によらないといいますが、まさか………」


織田「そうか、15なのか。其れは少し子供扱いし過ぎたな、悪かった」


A「……………」


隣にいるAの頭を撫でるが元々が無表情なため、その事に気にしているかさえ分かりずらかった


三人は少しずつお酒を飲みながらAのことについて語り合う


太宰「今は身体の痣も少しずつ消えていってはいるみたいだけど完全に消えるまでは少し時間が掛かるって」


織田「そうなのか」


安吾「実の妹に酷いことをしますね」


太宰「彼女にとってはきっとこの子は"妹"じゃなかったのさ」


安吾「？」


織田「其れはどういうことなんだ？」


太宰「だって彼女は一度もAのこを"妹"と呼ばなかった

その代わり、いつもAのことを"人形"と云っていた

彼女にとってAはただの"人形"

いつからそんな扱いを受けていたのかは知らないけど

少なくとも栄養失調の期間が長かったのが原因で

Aは身体の成長に影響が出るかも知れないって首領は云ってた」


其れほどの影響が出る長さということは裏社会で噂になる前からそうなっていたに違いない
彼女たちに何があってそうなってしまったのか
其れはA本人が口にしないと一生解ることはないだろう

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