幽霊のキミ ~Yuta.Kishi~

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「ねぇッあれやばくないッ？」






みんな遊びをやめて、川の前まで集まってきた。








「助けてッ･･助けてッッ！！」








それは小学生くらいの小さな男の子で･･勢いのいい川に流され、溺れていた。









「助け呼ばないとッ」








生徒がレスキューに電話をかけようとしたけど









廉「そんなん待ってられへんッ俺が行くッッ」









廉くんは川の中に飛び込んだ。








･･やめて、







････行かないでッ








どんどん遠ざかっていく彼に足がすくむ。









古傷が何かでガンガン殴られてるかのように痛む。








もう、あんな思い･･二度としたくないのにッ









息が浅くなっていき苦しくてたまらない。








そんな状況の中で、廉くんを見守ることはできず･･







わたしはずっと目を伏せていた。








レスキュー隊はすぐにやってきて、男の子は無事に救出された。








その男の子の両親は泣いていて、みんな安心してるけど･･








私の心臓はどくどく嫌な音をたてたまま。









『･･廉くんッ廉くんはッッ』








周りを見渡せば･･








全身びしょ濡れで川から上がってくる彼がいた。








なんとも言えないこの恐怖感･･







それは消えることなく涙へと変わった。








『なにッ･･してんのよッ』






廉「え？」








乱れた呼吸を整えながら、廉くんからしたら不思議な状況。







だって人を助けたのに、こんなに怒られることなんて･･ないでしょ？








『･･バカッ』







わたしは勢いのままにその場から逃げた。







優太と廉くんが、嫌になるほど重なった。







･･余計に記憶がよみがえる。








廉「先生ッ待って･･ッ！！」








私の後ろを追いかけてくる廉くんに、わたしはなんて言えばいいのだろう。







わたしには、彼を褒めてあげることなんて出来ない。







優太も、廉くんも一緒、。







その自分勝手な正義感に、わたしは10年前も今も振り回されている。







涙で顔はぐちゃぐちゃ。






思考回路はうまく働かず･･頭の中もぐちゃぐちゃ。








廉「先生ッ、待ってよッッ！！どうしたん？」








その確かな存在は、強く強く離さないように私の腕を掴んだ。








『･･怖かったの』






廉「え？」






『廉くんも死ぬんじゃないかってッ』








優太･･なんであなたは死んじゃったの、？

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