幽霊のキミ ~Yuta.Kishi~

▽４ ページ4

･







『え、なに、気持ち悪いんだけど』






岸「それが久しぶりに会った彼氏に言うことかよ」








10年の空白を埋めるかのように、君って本当に不思議。






いつも君に接していた感覚を自然と思い出してしまった。









岸「まじビックリさせんなって」







『いやそれこっちのセリフなんだけど』








今度再会する時は、きっとあの世だと思ってたんだけど。







まさか、こんな出会い方って･･









岸「まじ心臓止まるかと思った･･あ、もう止まってるか！」








勝手に自己解決しないでもらいたい･･









『え、てことは、やっぱり優太って･･幽霊？』







岸「そ！俺が幽霊って全然怖くねぇだろ？(笑)」








倉庫に置いてあった文化祭の道具で遊び始めてる。







なんだろ、






･･死んでるくせにすごい陽気。








『ねぇ、なんでここにいるわけ？』








岸「ん？あぁ、まぁね」








そこ変に濁されると、今後の理解力に関わってくる。







幽霊ってさ、この世に何か未練があるから現れるんでしょ？








『この世に何かやり残したことでもあったの？』







岸「まぁ、いろいろと？」









そこ何で疑問形なのよ･･







いろいろと不審に思うことは沢山あるけど･･









『ねぇ、全然先が見えない。優太はこれからどうするつもり？』







岸「どうするって、どうもしねぇけど？」








はい？！









10年前に突如、私の前から姿を消した君は、









いろんな人に愛されていて、








いろんな人に泣いてもらって、








いろんな人に叱られて、









いろんな人に悔やまれながらお葬式をしたんだよ、？









なのにさ、成仏出来てなかったってどういうこと、？








幽霊になって何かやり残したこと、やり遂げに来たんじゃないの？








なのに、そんな･･








どうもしないって。








『随分と明るい幽霊さんだね』








幽霊ってもっと怯えるような存在だと思ってたんだけど･･








まず今の状況を理解出来ている自分に驚く。









岸「まぁ、そういうことだから！」








『いや、納得出来ないって』








腕時計に目をやれば、もう時間が迫っている。









『わたし行かなきゃなんだけど、ずっとここにいるの？』







岸「だって俺が近くにいたって邪魔だろ？他の奴らには見えないんだぜ？」









ごもっとも。

▽５→←▽３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す