幽霊のキミ ~Yuta.Kishi~

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食器を片付けた後、






わたしは生徒達の課題のプリントを丸つけすることにした。







いつものように軽快なリズムで1枚1枚に採点をする。








岸「なぁ、A」






『なにー？』







目線はプリントに残したまま、優太に返事をした。









岸「丸つけ、手伝おっか？」







『え？』








すると予備の赤ペンを持ち出した。







驚く程に似合わない光景･･









『え、出来る？』






岸「これくらい誰でもできんだろ？バカにしすぎ」








とか言って、わたしが一番最初に採点したプリントを手に持ち








答えが同じものに丸を、違うものにチェックをしていく。









岸「苦労すんねぇ？先生は！」







『そんな人事みたいに』








岸「だって人事だもん、飽きた！」








『は？』









さっき手伝うって言ったばっかだよね？









『あの、何枚採点した？』






岸「2枚」








思わず溜め息が出てしまった。








そうだよ、優太にこういうの向いてるわけないじゃんか･･









岸「つーかよくみんなこんなに難しい問題解けるよな！！」








至って普通の基礎問題なんだけど･･








素直に認めて褒めるところとか、ほんと人柄の良さが滲み出てる。








また、採点する気になったのか一枚のプリントを自分の前に持ってきた優太。







だけど赤ペンの動きは止まっていて、なんか見てる、？









岸「なぁ」







『ん？』









気になってそのプリントに目を移せば、何やら正方形の付箋が貼られていた。







誰だろう？と思って名前を見たら･･







永瀬廉。









岸「絶対お前のこと好きだよな、廉くん」








確かによく話しかけてくれるし、放課後に個別指導を頼まれるのもそう少なくない。








最近だと週に一回のペースで教えている。









『は？何言ってんの･･教え子だよ？』








けど、彼は生徒。





そんな事ありえない･･






なのに、








岸「だってほら」








優太はその付箋を私に見せてきた。







"勉強のこと色々聞きたいんで連絡先交換してもらえませんか？"







『なっ･･』






今どきの男の子にしてはかなり綺麗で読みやすい字。






その文の下にはLINEのIDと携帯の電話番号が書かれていた。







岸「毎日会えんのに交換したいってもうそうじゃん！」







もう、早とちりはやめて欲しい。

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