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放課後になり、私は一人で保健室へと向かった。
重くて滑りの悪い引き戸をあける。
『失礼します・・』
中にいた保健の先生に目を合わせれば、無言で口をパクパクされた。
一つだけカーテンの閉まったベッドを指差し、おきてるよ!、と。
私はズカズカと歩み寄り、
−−−−ッッツシャッ!!!
そのカーテンを勢いよく開けた。
『れんッ!!』
廉「もううるさいわ、なに?」
気怠そうにその身体を持ち上げて、目をこすっている。
『早く帰る準備して』
廉「・・はぁ、っ」
私がそう言えば大きく溜め息をつかれる。
『あのねぇ、溜め息つきたいのはこっちの方なんだけど!!』
時計を見ればどんどん針が動いていく。
これから病院だというのに、まったくだ。
病院に遅刻だなんて聞いたことがない。
私は廉のカバンをもって先生に挨拶をした。
『先生さようなら!!』
「気をつけてねっ」
廉の腕を強引に引っ張って下駄箱までやってきた。
廉「・・なぁ、俺病人なんやけど、もっと優しく扱ってくれへん?」
『残念だけど私も病人だから!!優しくしてもらいたいならちゃんと一人で病院行ってよね』
また時計に目をやればいつもの時間を過ぎていた。
『あー最悪だ』
廉「なんでお前が焦ってんねん」
自分のことなのにどうしてここまで危機感がないのだろうか。
『私たちは急ぎたくても急げないんだよ?分かってる?』
廉「そんなん遅れますって電話すればええ話やん」
なんでそうなっちゃうのか、。
『確かにそうだけど・・それ、病院側からしたら結構迷惑なんだからね』
廉「知るかっ」
どうしてこう周りを理解しようとしないのだろうか。
悩まされてばかりだ。
『あ、今日、手術日じゃないから面会出来るんじゃない?』
廉「ああ、ほんまや・・行くか?」
私たちが話してるのは、昔お世話になった小児科病棟のこと。
そこの病院の小児科は中学生まで、。
だから一緒に入院してた子達も中にはまだいるのだ。
『急に行ったらびっくりするかな?』
廉「おん、せやなっ!!」
廉の顔が急に緩やかになったのは、きっと、あの子に会えるからだろう。
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しおり(プロフ) - むへさん。数ヶ月ぶりに読み返しました。相変わらず涙が止まらなかったです。 (2020年7月23日 11時) (レス) id: 44c0badaad (このIDを非表示/違反報告)
rnrn20(プロフ) - 最初から最後まで号泣しました。最高の作品ありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: e66b1301c0 (このIDを非表示/違反報告)
みなる(プロフ) - Instagramから飛んできて最初に読んだ小説がこの話で言葉の選び方とかがすごく繊細でとっても感動して読むたびに涙が止まらなかったです!これからも頑張ってください!! (2019年2月17日 3時) (レス) id: e9f4ded0ca (このIDを非表示/違反報告)
あゆみん(プロフ) - 初めて、小説で泣きました!!!ほんとに感動しました!これからも頑張ってください! (2019年1月19日 1時) (レス) id: 6942929434 (このIDを非表示/違反報告)
平野かな(プロフ) - すごく感動しました!muheさんの作品本当に大好きです!!まだ見てない作品もこれから全て見ていこうと思います! (2018年9月13日 9時) (レス) id: 0d5cee7618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月22日 17時