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廉はゆっくりと私から離れると、落ち着いた口調でそれを言葉にした。
廉「俺やって思ったんやで?ッAにはAのやりたい事があるだろうしッ、俺に振り回されてそれ出来んくなるんは嫌やなって・・」
初めて聞いた、廉の気持ち、、。
廉はいつだって私のことも気にかけてくれてたんだね・・
それに私は気付けなかった。
廉「けどッやっぱり俺は自分が大事やねんッそんな風に思っても、ッやっぱり自分を優先してまうねんッ」
「どうしようもないよなッ」、って、
無気力な笑顔を見せられても、何も心は晴れない。
廉だって悩んでたんだ。
私を振り回したくない・・そう思うと同時に
自分の恐怖や不安と闘ってたんだ。
私がなかなか答えてあげないから、受け止めてあげないから
廉はいつになってもそれと闘っては辛くなって、しんどくなって・・
逃げ場を知らないそれに苦しんでいたのかもしれない。
『廉、』
私がちゃんと、彼に教えてあげなくちゃ・・
『わたし、廉の事待ってるから大丈夫だよ?』
廉「ほんまにッ、?」
まだ呼吸が浅いのか肩で息をしている彼に早く楽になってほしいと願う。
ついて行ってあげたい気持ちが全く無いと言ったらそれは嘘で、
でも、私には受験勉強がある、。
それを廉は分かっていた、。
だからどうもできないその気持ちを私にぶつけてきたのだろう、。
だけど、今ならちゃんと言える。
ちゃんと伝えて背中を押せる。
そんな気がしたんだ。
『うん、廉のこと一人にしないからッ、一人で怖い思いさせないからッ・・だから、安心して、アメリカで手術してきて?帰ってきた廉を私、ちゃんと迎えてあげるからッ』
廉はひたすら泣き続けた。
そんな事言われたって、やっぱり怖いものは怖いんだ。
駿くんという、身近な人を失って、希望が見えなくなるのはしょうがないこと。
勇気を出せないのは誰でもそうなんだ。
『大丈夫だから信じて?』
廉「口で言われたって信じられへんわっ」
まだ落ち着いてない君だけど、声色はいつもに戻りつつあって、
ちゃんと、伝わったのかな。
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しおり(プロフ) - むへさん。数ヶ月ぶりに読み返しました。相変わらず涙が止まらなかったです。 (2020年7月23日 11時) (レス) id: 44c0badaad (このIDを非表示/違反報告)
rnrn20(プロフ) - 最初から最後まで号泣しました。最高の作品ありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: e66b1301c0 (このIDを非表示/違反報告)
みなる(プロフ) - Instagramから飛んできて最初に読んだ小説がこの話で言葉の選び方とかがすごく繊細でとっても感動して読むたびに涙が止まらなかったです!これからも頑張ってください!! (2019年2月17日 3時) (レス) id: e9f4ded0ca (このIDを非表示/違反報告)
あゆみん(プロフ) - 初めて、小説で泣きました!!!ほんとに感動しました!これからも頑張ってください! (2019年1月19日 1時) (レス) id: 6942929434 (このIDを非表示/違反報告)
平野かな(プロフ) - すごく感動しました!muheさんの作品本当に大好きです!!まだ見てない作品もこれから全て見ていこうと思います! (2018年9月13日 9時) (レス) id: 0d5cee7618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月22日 17時