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廉がいなくなった空間に、今度は紫耀くんとのなんとも言えない空気が流れる。
居心地が悪いと言ったら・・それはもう、。
紫「あのさ・・どっから聞いてたん?」
ぎこちない紫耀くんの素振りに、変に申し訳ない気持ちが募る。
『えと・・いつになったら仲直りするん?ってとこから』
今さら何か細工をしたってややこしくなるだけ。
私は正直に答えた。
紫「そ、っか・・そうなんやっ、」
頭をかきながら小さくどうしよ、と呟いた紫耀くん。
やっぱり聞いちゃいけないことを聞いてしまったらしい。
『あのッ・・なんかごめん、盗み聞きしちゃって』
とりあえず謝れば、逆に彼を困らせてしまっただろうか、。
紫「いや、謝ることないって・・どうせいずれは言おうと思ってたし」
目を泳がせながら、時々チラッと私の方に目を向ける。
廉を置いて、紫耀くんに頭を使えるほど万能な頭ではない。
一体どうしろというのか・・
私が険しい顔をしていたからか、紫耀くんは無気力に笑いだした。
『・・えっ?』
紫「悩ませちゃうんやったらちゃんと言わん方がい?」
廉と私のことを全て把握済みの紫耀くんからしたら、とても厄介で仕方ないだろうに
その気遣いがズカズカと染みてくる。
『・・うん、ごめん』
紫「いいよっ、最初っから失恋するって分かってたし」
それを言われると私に優しくしてくれてた裏ではどれだけ辛い思いをしていたのだろう、と
図々しくも考えてしまう。
紫「・・まぁ、このタイミングは予想外だったけど」
苦く笑って見せた彼に、答えられない自分がやっぱり気に入らない。
廉の時もそうだった。
いい言葉を探そうとして、自分の言葉を言えずじまいに・・
結局は相手を苦しめて、自分は悔やむばかりなのだ。
『紫耀くん』
紫「ん?」
中途半端に時間が過ぎるのを待ってたら、紫耀くんに対しても失礼だと思うと
やっぱりこのまま待ってるのは如何なものかと、。
ちゃんと、廉と向き合わなければいけない。
そう思ったのだ、。
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しおり(プロフ) - むへさん。数ヶ月ぶりに読み返しました。相変わらず涙が止まらなかったです。 (2020年7月23日 11時) (レス) id: 44c0badaad (このIDを非表示/違反報告)
rnrn20(プロフ) - 最初から最後まで号泣しました。最高の作品ありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: e66b1301c0 (このIDを非表示/違反報告)
みなる(プロフ) - Instagramから飛んできて最初に読んだ小説がこの話で言葉の選び方とかがすごく繊細でとっても感動して読むたびに涙が止まらなかったです!これからも頑張ってください!! (2019年2月17日 3時) (レス) id: e9f4ded0ca (このIDを非表示/違反報告)
あゆみん(プロフ) - 初めて、小説で泣きました!!!ほんとに感動しました!これからも頑張ってください! (2019年1月19日 1時) (レス) id: 6942929434 (このIDを非表示/違反報告)
平野かな(プロフ) - すごく感動しました!muheさんの作品本当に大好きです!!まだ見てない作品もこれから全て見ていこうと思います! (2018年9月13日 9時) (レス) id: 0d5cee7618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月22日 17時