▽21 ページ21
・
逃げ場を失ったわたしに、廉は顔を近づけた。
全部受け止めて理解しろ、なんて・・
考えれば考えるほど、どうしたらいいのか分からなくて、
それに、わたしはそんなに器用じゃない、。
『離してッ・・!!!』
その声は廉の心には響かない。
それも全部、私が招いてしまった事なのだろうけど。
こんな事、望んでたわけじゃないのに・・
今の状況にとても気持ちが追いつかない。
わたしは彼から、現実から、逃げるのに精一杯で、。
廉「お前がッ・・俺やったら良かったのにッ」
その言葉に秘めた本当の意味はなんだったのだろう、。
廉はわたしの首に顔を埋めた。
『廉ッやめてッッ!!・・嫌いになるよッ?、』
私の言葉にピタリと動きを止めた廉、。
本当に、自分はどうしようもない人間だ。
嫌いになるよ、なんて脅し文句・・
でも、今の自分にはズルいやり方しか分からなかった。
だけど、何が一番ズルいって・・
廉「ええよ。嫌いになればええやんッ」
私を刺すようなその目と冷めきった言葉。
感情よりも先に、私は泣いていた。
ボロボロと涙腺が壊れたかのようにそれは流れ落ちる。
わたしの想いはなかなか感情と比例しない、。
滅多に泣かないわたしに、廉は顔を歪ますわけで・・でも、
廉「なんでお前が泣くん?泣きたいのはこっちやッ!!」
お互いの想いがすれ違ってばかり、。
相手を思いやる余裕なんてない。
『知らないよそんなのッッ・・自分の事分かってくれないってッそんなの言ってくれなきゃ分かるわけないじゃんッ!!』
上から見下ろす彼は、私の乱れた声にまた驚いているのだろう。
廉「・・ッ、もうええよッ」
このやりとりに飽き飽きしたのだろうか。
疲れて、もういいって思ってしまったのだろうか。
『私が廉のことッなんでも知ってるって本気で思うの?!』
廉「だからもうええってッッ!!!」
廉の目は、もう私を見てはいなかった。
掴まれた腕にじんわりと痛さを残して、
君の感覚はあっけなく簡単に消えていく。
1790人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しおり(プロフ) - むへさん。数ヶ月ぶりに読み返しました。相変わらず涙が止まらなかったです。 (2020年7月23日 11時) (レス) id: 44c0badaad (このIDを非表示/違反報告)
rnrn20(プロフ) - 最初から最後まで号泣しました。最高の作品ありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: e66b1301c0 (このIDを非表示/違反報告)
みなる(プロフ) - Instagramから飛んできて最初に読んだ小説がこの話で言葉の選び方とかがすごく繊細でとっても感動して読むたびに涙が止まらなかったです!これからも頑張ってください!! (2019年2月17日 3時) (レス) id: e9f4ded0ca (このIDを非表示/違反報告)
あゆみん(プロフ) - 初めて、小説で泣きました!!!ほんとに感動しました!これからも頑張ってください! (2019年1月19日 1時) (レス) id: 6942929434 (このIDを非表示/違反報告)
平野かな(プロフ) - すごく感動しました!muheさんの作品本当に大好きです!!まだ見てない作品もこれから全て見ていこうと思います! (2018年9月13日 9時) (レス) id: 0d5cee7618 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:muhe | 作成日時:2018年6月22日 17時