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体育の授業というのは、私たちにとって一番退屈なもの、。
ジャージに着替えた私の隣に並ぶのは制服のままの廉で・・
『ねぇ、ジャージくらい着なよっ』
廉「動かんのに着替える必要ないやん」
ズカズカ歩いてく君は、花壇の端に腰掛けた。
準備運動をはじめたクラスメイトをどこか遠い目でずっと見つめている。
今日はグランドでサッカーをするらしい。
・・きっと、本当はやりたいんだろう。
けど負担の大きいスポーツは一切禁止されている私たち・・・
しょうがない事とは分かっていても、自分に苛立ち悔しくなる気持ちは消えることがない。
みんながサッカーボールでパスを始めると、廉はもっとつまんなそうな顔をする。
廉「あんなん何がおもろいねん・・」
ボソッと出た君の言葉は八つ当たりに近いものだった。
それを分かっている私も辛くなるわけで・・
『本当はやりたい癖に』
廉「そんなんちゃうし・・」
転がるボールをただひたすら目で追いかけては中身のない話で時間を潰す。
そんな時にこちらに転がってきた一つのサッカーボール。
それは、私の足元までやってきた。
紫「Aちゃんっ!!」
特徴的なハスキーボイス。
その声は見なくとも誰のものか検討がつく。
廉「・・またかよ、」
転がってきたボールを足でぎこちなく蹴る。
すると紫耀くんは、もう一度私の方にボールを転がしてきた。
退屈なのを分かってなのか、バスケの授業の時もそうだった。
紫「Aちゃんっ!パス!!」
片手をあげてこっち!と、笑う君はとても優しくて・・
もう一度蹴ってあげれば
紫「さんきゅ!!」
紫耀くんはボールを蹴りながらグランドの方に戻っていった。
あのちょっとした気の使い方、。
すごく心に染みてくる・・
運動神経が抜群な彼を目で追っていると、
隣で黙っていた廉が喋りだした。
廉「なにニヤけとんの」
『はっ!?』
膝に肘をつき、頬ずえをつく君は冷めた目付きでこちらをずっと見ていた。
『いやいや待ってよッニヤけてなんかないから!!』
廉「嬉しかったくせに」
ボソッとその言葉を残して君は立ち上がった。
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しおり(プロフ) - むへさん。数ヶ月ぶりに読み返しました。相変わらず涙が止まらなかったです。 (2020年7月23日 11時) (レス) id: 44c0badaad (このIDを非表示/違反報告)
rnrn20(プロフ) - 最初から最後まで号泣しました。最高の作品ありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: e66b1301c0 (このIDを非表示/違反報告)
みなる(プロフ) - Instagramから飛んできて最初に読んだ小説がこの話で言葉の選び方とかがすごく繊細でとっても感動して読むたびに涙が止まらなかったです!これからも頑張ってください!! (2019年2月17日 3時) (レス) id: e9f4ded0ca (このIDを非表示/違反報告)
あゆみん(プロフ) - 初めて、小説で泣きました!!!ほんとに感動しました!これからも頑張ってください! (2019年1月19日 1時) (レス) id: 6942929434 (このIDを非表示/違反報告)
平野かな(プロフ) - すごく感動しました!muheさんの作品本当に大好きです!!まだ見てない作品もこれから全て見ていこうと思います! (2018年9月13日 9時) (レス) id: 0d5cee7618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月22日 17時