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廉の言葉に何も言い返せない、。
どっかに行けと冷たく言われたことによって、私の心臓はキュッと変な痛みを覚える。
紫「Aちゃん、いこ?」
手を差し伸ばす紫耀くん、。
わたしはその手に触れて立ち上がった。
ただただ廉の強ばる背中を見てるだけで・・
何も言ってあげれないまま、。
私は紫耀くんとその場をあとにした。
階段をのぼる紫耀くんに声をかける。
『ねぇッ・・紫耀くん、』
紫「ん?」
立ち止まると私よりも少し目線の高いその位置から、わたしの言葉を待ってくれる。
『ごめんねッ巻き込んじゃって・・』
すると紫耀くんは眉間に少し皺を寄せたのだ。
紫「なんでAちゃんが謝るん?」
『えっ、』
なんでって言われても、すぐに答えが出てくる訳ではない。
咄嗟に、反射的に、
自然ととってしまうのだ、。
紫「いっつもそうやん、Aちゃんはなんも悪ないのに・・」
" いつも "
・・その言葉に私がどれだけ彼に謝ってきたのかが分かる。
紫「Aちゃんは廉を庇いすぎや・・廉に依存しすぎちゃう?」
その言葉に動揺を隠せない、。
なぜなら、当たっているからだ。
『そう、なのかな・・』
頼りにされて、必要とされて・・
それが嬉しくて依存してたのは私の方。
廉が私の傍から離れないのは、
私が廉といつも一緒にいたかったから・・
私がそうしたくて甘やかしたから、。
そんな思いも廉にとっては、なんの必要ともしてないただのお飾りなのだろう・・
今日の、さっきの出来事でよくそれが分かった。
私が廉を想えば想うほど・・
廉は弱くなっていく。
私が彼のそばにいればいるほど
古傷も新しい傷も、えぐってしまうのだろう。
紫「少しは廉離れ、したら?」
私たちの関係はただの幼馴染みではない。
幼馴染みと言うにはあまりにも
その人の触れなくていい所まで近づき過ぎたのだろう。
『廉離れ、か・・できるかな、』
心臓がズキズキ苦しく痛むのは、心臓病だからではない。
慣れないその痛みに、私は経験を知らない。
病に強かった私はどんどん弱くなっていく。
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しおり(プロフ) - むへさん。数ヶ月ぶりに読み返しました。相変わらず涙が止まらなかったです。 (2020年7月23日 11時) (レス) id: 44c0badaad (このIDを非表示/違反報告)
rnrn20(プロフ) - 最初から最後まで号泣しました。最高の作品ありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: e66b1301c0 (このIDを非表示/違反報告)
みなる(プロフ) - Instagramから飛んできて最初に読んだ小説がこの話で言葉の選び方とかがすごく繊細でとっても感動して読むたびに涙が止まらなかったです!これからも頑張ってください!! (2019年2月17日 3時) (レス) id: e9f4ded0ca (このIDを非表示/違反報告)
あゆみん(プロフ) - 初めて、小説で泣きました!!!ほんとに感動しました!これからも頑張ってください! (2019年1月19日 1時) (レス) id: 6942929434 (このIDを非表示/違反報告)
平野かな(プロフ) - すごく感動しました!muheさんの作品本当に大好きです!!まだ見てない作品もこれから全て見ていこうと思います! (2018年9月13日 9時) (レス) id: 0d5cee7618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月22日 17時