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2人で歩き続けると見えてきたのは、幾つもの街灯に照らされた公園。
廉「寄り道せぇへん?」
とかいいながらもうそっちの方に足を進めている。
廉は入り口の策を乗り越えて公園の中に入ってしまった、。
『もうっ、帰るの遅くなっちゃうじゃん!!』
仕方なく廉についていけば、彼はブランコの前で足を止めた。
ブランコに腰を掛けるとユラユラと自分の足で押しはじめる。
廉「・・覚えとる?」
『ん?』
廉はまっすぐ何かの面影を目で追いながら話を続けた。
廉「ここでサッカーしとってさ、ボール転がってきて・・一緒にやる?って言われたの」
それは小学生の時の話、。
ランドセルを端っこに並べて、私達と同い年くらいの男子がみんなでサッカーをやっていた。
それをただただブランコから2人で見てたっけ。
転がってきたボールを廉が拾ってあげたら、「一緒にやる?」って誘われて・・
ものすごく嬉しそうだった。
でも、それと同時に苦しそうでもあったのだ。
廉は昔を思い出すかのように話をやめない。
廉「断んの、めっちゃしんどかった」
『サッカー好きだったもんね、あの頃から』
それは今でも同じこと・・
廉の目にやきついたそれは、がむしゃらに走っていたあの少年たちは、
彼の永遠の憧れなのだ、。
廉「今も思うねん・・サッカー部、入りたかったって」
それは滅多に言わない廉の本音、。
それに気付いていなかった訳では無いが・・
それを聞くと今日の体育の時間の態度に納得してしまうのだ。
誰よりも思いっきり走って、
誰よりも思いっきりサッカーを楽しみたいのに
そんな誰にでも叶えられそうな願いが叶わないなんて・・なんて不平等な世の中なのだろう、。
廉「俺だけちゃうねん・・駿も一緒や」
やっぱり廉の中には、ちゃんと駿くんもいて・・
サッカーの試合に出たいと本音を漏らしていた事を教えてくれた。
廉「アイツならまだ間に合うかもしれん・・」
ほんとクールというか、
興味無さそうというか・・
冷めきってそうなのに
廉「やから、治ってサッカーできるようなったら試合見に行ってめっちゃ応援してやんねんっ」
誰よりも熱いんだから。
だけど、廉の願いは叶わなかった。
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しおり(プロフ) - むへさん。数ヶ月ぶりに読み返しました。相変わらず涙が止まらなかったです。 (2020年7月23日 11時) (レス) id: 44c0badaad (このIDを非表示/違反報告)
rnrn20(プロフ) - 最初から最後まで号泣しました。最高の作品ありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: e66b1301c0 (このIDを非表示/違反報告)
みなる(プロフ) - Instagramから飛んできて最初に読んだ小説がこの話で言葉の選び方とかがすごく繊細でとっても感動して読むたびに涙が止まらなかったです!これからも頑張ってください!! (2019年2月17日 3時) (レス) id: e9f4ded0ca (このIDを非表示/違反報告)
あゆみん(プロフ) - 初めて、小説で泣きました!!!ほんとに感動しました!これからも頑張ってください! (2019年1月19日 1時) (レス) id: 6942929434 (このIDを非表示/違反報告)
平野かな(プロフ) - すごく感動しました!muheさんの作品本当に大好きです!!まだ見てない作品もこれから全て見ていこうと思います! (2018年9月13日 9時) (レス) id: 0d5cee7618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月22日 17時