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スマホをとじてブレザーのポケットにしまうとポンッと浮かび上がった。
『・・あ!今日の放課後病院だよね?』
廉「おん」
病院とは、私たちにとって家の次に帰る場所。
もう好き嫌い言ってる次元じゃないのだ。
『採血だっけ』
廉「ああああぁぁぁぁ!!!」
校門の前をくぐり抜けると同時にそんな叫びを浴びる。
朝からみんなの視線ももらうわけで・・
『な、なに?』
廉の鋭い目がわたしを睨む。
廉「せっかく忘れてたんにお前のせいで思い出したやんッ」
それは廉にとって嫌な一日、。
『あー・・針ねっ』
廉「黙れっっ!!!」
ほんと、口が悪くて嫌になる。
どうしてそう乱暴な言葉しか言えないのだろう・・
昔からそうだ。
華奢で貧弱で、学校の男の子達に力がないことを馬鹿にされた時もムキになって・・
勝てるのは口喧嘩くらい。
腹が立つほどそれは達者で、見てるこっちは常に親目線だったけど。
『いい加減、克服したら?あんだけ刺されてんのにまだ慣れないの?』
普通、小さい時から点滴を打っていたら、嫌でも慣れてくるもんなのだが・・
廉「あんなん慣れてたまるかッ」
廉の場合は苦手意識が強いあまり、克服する気はゼロだった。
『これから一生涯、付き合わなきゃいけないんだよ?ほんとにもう、注射の度に呼ばれてたんじゃこっちも困るんだけど!!』
未だに廉は、私が隣にいないと注射を受け入れない。
大阪に引っ越した時なんて、周りにどんだけ迷惑かけたんだろう、と
想像すればため息が出る。
廉「つかAはあの歳で針も血も平気とか、肝据わりすぎやろっ」
それが普通なんだけど
『心臓病歴は廉より私の方が長いからね』
廉「偉そうに言うことちゃうわっ」
廉に横から頭にデコピンをされた。
『・・いてっ!』
廉「つかお前・・」
『ん?』
廉は私の背丈を自分と比べる。
廉「あの時からそんな変わってへんのちゃう?」
どこか嬉しそうに馬鹿にしてきた君は確信犯。
『いや、女子の平均以上はあるから』
身長はそれなりにある方なのだが
今の廉からしたら小さいのだろう。
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しおり(プロフ) - むへさん。数ヶ月ぶりに読み返しました。相変わらず涙が止まらなかったです。 (2020年7月23日 11時) (レス) id: 44c0badaad (このIDを非表示/違反報告)
rnrn20(プロフ) - 最初から最後まで号泣しました。最高の作品ありがとうございます!! (2019年2月17日 22時) (レス) id: e66b1301c0 (このIDを非表示/違反報告)
みなる(プロフ) - Instagramから飛んできて最初に読んだ小説がこの話で言葉の選び方とかがすごく繊細でとっても感動して読むたびに涙が止まらなかったです!これからも頑張ってください!! (2019年2月17日 3時) (レス) id: e9f4ded0ca (このIDを非表示/違反報告)
あゆみん(プロフ) - 初めて、小説で泣きました!!!ほんとに感動しました!これからも頑張ってください! (2019年1月19日 1時) (レス) id: 6942929434 (このIDを非表示/違反報告)
平野かな(プロフ) - すごく感動しました!muheさんの作品本当に大好きです!!まだ見てない作品もこれから全て見ていこうと思います! (2018年9月13日 9時) (レス) id: 0d5cee7618 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:muhe | 作成日時:2018年6月22日 17時