3-7.ぶりっ子ちゃんの古傷 ページ8
先生に勝った人たちは前に出て、もう一度じゃんけんをして順番が確定した人から名前を書いていった。さっきまで描いていたビジョンには、そこにわたしも混ざっていたはずなのに。……先生を馬鹿にしたバチだ。
蘭ちゃんに平謝りすると、大丈夫、次があるよと励ましてくれた。
今度は心理戦抜きで正々堂々と運で挑んだが、負けた。次も、次も負けた。蘭ちゃんに平謝りを繰り返すうち、どんどん周りの人が抜けていって、遂にはわたし含め三人のみが残った。
志真崎さんと、田山君だった。三人で前に集まり、最後の勝負をすることになった。
残った番号は一番、二番、三番、綺麗に並んでいる。一番は嫌だ。蘭ちゃんのために、せめて一番だけは避けなければ。志真崎さんも田山君も同じ気持ちのはず。だから、絶対に負けられない。
「お二人さん、気合充分ですな〜」
「もっちろん♪ もえたんは〜、いつでも本気だもん♪」
「僕も負けません」
二人ともわたしの心の救いとなった恩人だが、手加減なんてしない。一番を避けるためだ！
「じゃあ、いくよっ！ さーいしょーはグー！」
「「「じゃーんけーんぽんっ！！」」」
志真崎さんはパー。わたしと田山君はグー。
「やったぁあああッ！！」
全力でバンザイする志真崎さん。歓喜が湧き起こる志真崎さんグループ。ショックで放心状態になるわたし。
「ゴメンね〜二人とも！ ウチらまだテーマ決まってなくてさ！」
と志真崎さんはわたしたちに両手を合わせると、三番に名前を書き、踊るように席に戻っていった。
半泣き状態で後ろを振り返ると、蘭ちゃんが大丈夫だよと微笑んでくれた。その優しさが、却って涙が出るほど申し訳なくなる。
「あ、あの……じゃんけん、しますか？」
満身創痍同然のわたしに、最後の相手の田山君が気遣わしげに声をかけてくれた。
そうだ、落ち込んでいる場合じゃない。まだ負けてない。田山君にさえ勝てばトップバッターは回避だ。そう、田山君にさえ……。絶対に負けられない。絶対に勝たねばならない。これが責任だ。蘭ちゃんのためだ。そして、わたしのためだ。一番だけは嫌なのだ。だって、一番と聞くと、一学期のあの自己紹介の失敗を思い出すから。これさえも一番になってしまったら、あのトラウマが再来するかもしれない。わたしのせいで、蘭ちゃんも同じ思いをするかもしれない。だから、それも相まって、一番だけは嫌なのだ。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
