3-21.ぶりっ子ちゃんの夢見 ページ22
「ふむふむなるほどぉ〜♪ せっかくだからぁ、夢小説も覗いちゃおっと♡」
「で、でも……っこれ以上は、朝戸衣さんが」
「もえたんは平気♡ 貴重なプレゼンの資料だよぉ？ 見なきゃソンソン♡」
依然として震える指で、ぶりっ子が登場する夢小説を漁る。完結済みの短編に狙いをつけて、作品を開く。
蘭ちゃんの言った通り、主人公の名前を設定出来るらしい。何も考えず「もえたん」にした。
1ページ目は登場人物紹介。なんと素晴らしいことに、主人公の「もえたん」は容姿端麗で成績優秀、おまけに天使のように心優しい性格から、性別問わず好かれる完璧超人らしい。確かに、夢見心地にさせてくれる小説だ。
けれど、その下のぶりっ子の紹介を目にした瞬間、夢から現実に引き戻された。
B子
ぶりっ子。性格も容姿も最悪。クラスの嫌われ者。C太郎に想いを寄せているが全く相手にされていない(笑)。C太郎と仲が良い主人公を恨んでいる。
……これは、紹介というより嘲笑だ。これでは読者はB子のことを好きになれない。長所は自分で見つけろというメッセージなのだろうか。そうだと信じたくて、次のページをクリックした。
物語の始まりは朝の教室。「もえたん」が挨拶をすれば、クラスメイトは揃って笑顔で返した。ごく自然な流れで女子グループの話の輪に加わる「もえたん」に、男子たちは離れたところで熱い視線を送った。
そこへ、B子が教室に舞い込んできた。
「おはよぉ♡ みんなぁっ♡」
クラスメイトはB子を無視した。さっきまでの笑顔はどこへやら、「うわキモ」「なんで来んだよ」と陰口を叩く人もいた。
わたしは、きっと「もえたん」だけは挨拶すると信じていた。だって「もえたん」は天使のように心優しい性格だから。ところが彼女はB子のことなど見向きもせず、C太郎の席に行った。
「もえたん」とC太郎の仲睦まじいやり取りが続く。B子は二人の間を割って入ろうとするが、C太郎に軽くあしらわれた。頬を赤く染める「もえたん」を、B子はひどく面白くなさそうな顔で見た。
今のわたしも、B子と同じ表情をしていると思う。
……「もえたん」は幸せだけれども……誰かが、そうでないような……。
今のわたしは主人公。ぶりっ子ではない、ぶりっ子をする必要もない、作者に溢れんばかりの成功と幸せを与えられて生まれた天使。なのに、どうしてもわたしは、B子のことばかり気にしてしまう。
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やま(プロフ) - 面白いです、笑っちゃいました。 (2021年9月19日 13時) (
レス) id: 0eb68c7075 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、真白と同一人物です！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 思わず笑っちゃいました！しかも、なんか余計にクラスの人に�猜僂陛朖瓩辰道廚錣譴修Δ覆海箸鬚錣兇錣供帖帖帖帖�この小説凄く面白いです！ (2021年7月25日 17時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - 真白さん» ぶりっ子についてプレゼンする人なんてそうそういないですよね（苦笑） (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
豆の字(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» ありがとうございます！！一人一人の登場人物をこんなに丁寧に見てくださって本当に嬉しいです！（いつか名前も覚えていただければ大変恐縮です！）りうむちゃんのことも好きになってもらえて嬉しいです、ぜひ推してあげてください！ (2021年7月16日 18時) (レス) id: dee9e908a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆の字 | 作成日時：2019年12月7日 15時
