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【過去】
鳳凰がまだここまで性格に難がなかった時の話。幼い頃には友達というものは存在していて、一緒に遊ぶこともよくしていた。

そんなある日、いつものように公園に行き遊具などを使って鬼ごっこをしていたときに、高い位置にある遊具の上から鳳凰が誤って足を滑らせ落ちてしまった。だんっと鈍い音がして鳳凰が呻き声をあげる。慌てて駆け寄ってきた友人たちは鳳凰の頭を見て顔を真っ青にさせた。頭から落ちてしまったのか、どくどくと見たこともないぐらいの血が流れていたのだ。その恐怖に泣き出す者までいた。

「だい、じょうぶ。俺治せるから」

鳳凰は痛みに顔を歪めながらなんとか周りが落ち着くように告げて、能力を使った。酷い痛みが襲ってきて思わず涙が溢れたが、頭の傷は再生され血も流れなくなっていた。友人たちは驚きながら、すごいと鳳凰を褒める。思えばこれが初めて家族以外の前で能力を使った日だった。

それから、友人たちの間では「鳳凰霜司は傷を治せる」という話が広まっていき、鳳凰がどれだけ怪我を負っても気にする者はいなくなっていた。転んでも、足を骨折しても、肩を脱臼しても、カッターで手を切っても。どれだけ痛くて苦しい思いをしていても、周りは笑って鳳凰を見ていた。早く治さないとね、なんてまるで鳳凰が能力を使う様子を見ることを楽しみにしているように笑っていた。無視する者だっていた。

それだけでもかなり苦痛だったが、治せるのは本当だったからまだ良かった。それより腹痛だったり頭痛だったり、鳳凰にはどうにも出来ない痛みも治せると思われ放って置かれるのが辛かった。だれも心配などしてくれない。苦しみに耐えるしかなかった。


それからしばらくしたある日、今度は鳳凰ではなく友人の一人が怪我をした。自転車で派手に転んでしまい膝や肘、顔までもがコンクリートで皮膚を削られていた。だらだらと血を流し、痛みに泣くその友人を見て周りは鳳凰に助けを求めた。

「治してあげてよ、できるでしょ?」

できるわけがなかった。鳳凰ができるのはあくまで自分の身体の再生だからだ。けれどそれを幼い彼らに上手く伝えることは難しく、傷を治せるという印象を強く持っていた彼らにはやはり伝わらなかった。

〃→←〃



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●龍●(プロフ) - ミクミキさん» はい、大丈夫ですよー!ではミクミキ様のボードにお邪魔しますね…! (2019年3月6日 16時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
ミクミキ(プロフ) - 失礼します、【散れ、血塗れた桜】に参加しておりますミクミキと申します!私のキャラ【優曇香奈子】【優曇美智子】と関係を結んでいただけないでしょうか? (2019年3月6日 15時) (レス) id: eada72cfbe (このIDを非表示/違反報告)
朱鬼(プロフ) - ●龍●さん» ありがとうございます!了解です! (2019年3月4日 11時) (レス) id: 4a55e77aeb (このIDを非表示/違反報告)
●龍●(プロフ) - 朱鬼さん» わっ、勿論ですー!ぜひぜひ結びましょう!もしよければ自分のボートに来ていただけませんか…?そこでお話ししたいと思いまして! (2019年3月4日 11時) (レス) id: 5b64b63f06 (このIDを非表示/違反報告)
朱鬼(プロフ) - 失礼します。「散れ、血濡れた桜」に参加させて頂いています朱鬼と言います。良ければ鳳凰霜司さんと関係結んで頂けませんか? (2019年3月4日 10時) (レス) id: 4a55e77aeb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:●龍● | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年1月14日 22時

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