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「いのお？」
いつのまにか足が止まっていたらしい。
やぶに手を引かれる形で、俺は俯いたまま。
「どうしたんだよ、」
心配そうに覗き込んでくるけど、不貞腐れてるのを見られたくなくて顔を背けた。
困っているのがなんとなくわかる。でも今から、きっと、もっと困らせるから。
申し訳なさと恥ずかしさでまともに目も合わせられない。
「おれかわいくない…？」
窺うような声色に、何かを察したらしい。やぶが俺の両肩をしっかり掴んで、ちゃんと目を合わせようとしてくる。
「いのお、顔上げて」
お願い、って言われてしまったから、観念して、のろのろ顔を上げる。
こっちがびっくりするくらい心配そうな顔。
でも、やぶより俺の顔の方が酷いんだろうな。
「おれ、かわいくなりたい…」
「いのお、」
「やぶに、かわいいって、思ってほしい」
向き合った顔が、強張ったのがよくわかった。
知念からのアドバイスは、ちょっと俺には酷だった。
だって今までずっと、隠し続けてきたのに、
思ってること、ちゃんと本人に伝えるだなんて。
宏太は自分のことでいっぱいいっぱいだから、いのちゃんが大人になってあげな？
って笑った知念と、それがいいよ、って頷いたやまちゃんを思い出す。
信じるからね、2人とも。ちゃんと慰めてよ。
「おれ、やぶのとなりに、相応しくなりたかった」
目を逸らさないように。
逃げてしまわないように。
肩に置かれた手の上に、自分の手を重ねて、しっかり見つめて、ちゃんと伝えた。
「…勝手言ってごめんなさい」
強張っていたやぶの顔が、だんだん緩んで、なんとも間の抜けた顔になった。どうやら話が掴めないらしい。
やぶ、そんな顔するんだ。初めて見た。
「やぶのこと、すきなの…」
ぽろ、と溢れた告白。
間抜け面は一気に赤くなって、
「俺も好きだ！！」
らしくない大声での返事に、なんだかおかしくて笑ってしまった。
(終)
(いのお、かわいい。かわいすぎ)
(急に大安売りだね)
(ずっと前から言えなかった分だからな)
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かじ(プロフ) - 佐々木さん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいです。拙い文ですが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。 (2018年7月5日 0時) (
レス) id: cc9d60b609 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 - すぺてのお話がキュンキュンします。次のお話も楽しみにしています。 (2018年7月3日 21時) (レス) id: e2f78d2bae (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - 特にことばにできないが大好きです！伊野尾くんが幼い感じのおはなし待ってますね、、、 (2018年6月27日 22時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
かじ(プロフ) - 琳さん» はじめまして。ご丁寧に感想をありがとうございます。恐縮です。拙い文ですがこれからも読んでいただけると嬉しいです^ - ^ (2018年6月27日 22時) (レス) id: 76a26e19db (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - かじさんはじめまして！いつも楽しく読ませてもらってます！！すごく大好きなお話ばかりで更新が楽しみで仕方ないです(*´∀｀*)これからも頑張ってください！ (2018年6月27日 21時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かじ | 作成日時：2018年6月17日 23時
