君はライナス ytin ページ30
ブランケット症候群ないのおくん
……………………………………………………………
「…いのちゃん?」
仕事から帰ってきた恋人の様子がおかしい。
まともに返事も返さず、ふらふらと寝室に向かって歩いていく。
おや、これは。
なんか、ミスとかやらかしたのかな。
こういう日は多くないけど、決して見たことがないわけじゃない。
作っておいたご飯にラップをかけて、開きっぱなしの寝室を覗く。
今回はベッドにたどり着けなかったのか、床の上で丸まって横になっていた。
その腕の中には、ちょっと小さなテディベア。
少し草臥れたそれを、大事そうに抱きしめて、伏せられた瞼は開く様子がない。
俺にできることなんてほとんどないから、とりあえず、お疲れ様、って、セットの取れかけた髪を優しく撫でた。
恋人同士になってすぐ、いのちゃんの家に泊まりに行ったときだった。
そろそろ寝ようか、って寝室に案内してもらったとき。
ベッドの枕元に、可愛らしいテディベアが鎮座しているのを見つけた。
「いのちゃん、くまと一緒に寝てるの?」
かわいいね、って、俺はデレデレだったけど、
なんかいのちゃんは「ああ、うん」なんて、歯切れが悪かった。
じゃあおやすみ、って、いのちゃんのベッドに寝かせられて。
枕元のくまは、持ち主の手によって連れ去られていった。
ほんの一瞬だけ近くで見たくまは、なんだか少し、草臥れた感じがしてた。
それ以来、いのちゃんの家に泊まり行っても、くまの姿は見当たらなくなってた。
最初はあれ?って思ってたけど、だんだん俺も、その存在を忘れていっていた。
けどある日、お互いの家の合鍵を交換して、しばらく経った頃。
軽い気持ちで、いのちゃんの家に突撃した日のことだった。
その日は、みんな一緒に番組の収録をして、途中でちょっといのちゃんが進行を噛んだ。
ミスとは言えないようなミスだけど、ちょっとしょんぼりしてるみたいだったから。
軽く呑んで気を紛らわせられたらいいな、ってつもりで、酒と呼べないような度数のチューハイをいくつかと、おつまみになりそうなお惣菜を持って、いのちゃんの家までやってきた。
296人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かじ(プロフ) - 佐々木さん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいです。拙い文ですが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。 (2018年7月5日 0時) (レス) id: cc9d60b609 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 - すぺてのお話がキュンキュンします。次のお話も楽しみにしています。 (2018年7月3日 21時) (レス) id: e2f78d2bae (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - 特にことばにできないが大好きです!伊野尾くんが幼い感じのおはなし待ってますね、、、 (2018年6月27日 22時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
かじ(プロフ) - 琳さん» はじめまして。ご丁寧に感想をありがとうございます。恐縮です。拙い文ですがこれからも読んでいただけると嬉しいです^ - ^ (2018年6月27日 22時) (レス) id: 76a26e19db (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - かじさんはじめまして!いつも楽しく読ませてもらってます!!すごく大好きなお話ばかりで更新が楽しみで仕方ないです(*´∀`*)これからも頑張ってください! (2018年6月27日 21時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かじ | 作成日時:2018年6月17日 23時