ラブレター ybin ページ27
ノンリアル
モテモテいのおくんと苦労人やぶくん
……………………………………………………………
「ラブレターもらった」
「は？」
恋人が、可愛らしい封筒を持って帰ってきた。
表情はいつも通り、何を考えてるのかわからない。
「…お前のバイト先、どこだっけ」
「ほあ？ドラッグストアだけど」
危機感もくそもない、気の抜けた返事に頭が痛くなる。
よく考えてくれ、普通ラブレターを貰うようなバイトって、塾講師とかカフェ店員とかだろ。
ドラッグストアの店員にラブレター渡すって、そんなの
「その子めっちゃガチじゃん…」
「中学生くらいだと思うから、結構本気かもね〜」
本気度に軽く引く。
ついでにこいつのテキトーさにも腹がたつ。
犬の便箋だ、かわい〜。ってヘラヘラ笑うから呆れたものだ。
「受け取ったらすぐ帰っちゃってさあ、女じゃないよって言いそびれたんだよね」
「…男なのかよ」
ふつーに働くだけで余計な虫が引っ付くのか、と頭を抱えていると、伊野尾が俺の足の間に背中を向けて座り込んできた。
バイト終わりのこいつの定位置だけど、
お前もうちょっと空気読んでくれない？
「やぶ」
「あー？」
「一緒読も」
例の封筒が既に開かれた状態で、伊野尾の手に収まっていた。
どうやら拒否権はないらしい。
「わ、3枚も書いてる。」
「顔がめちゃくちゃタイプです、だって〜〜！めっちゃ正直〜」
「笑顔が素敵、ね。それは仕事だからで〜〜す」
「へー、やまだくんっていうんだ」
「18？！ うそ、絶対中学生だろ。」
「ファンです、応援してます。って！！俺、芸能人かよ！」
あたまわるそ〜、って楽しそうにツッコミを入れていく伊野尾だけど、手紙を後ろから覗き見る俺の目に、見過ごせない『付き合いたい』の文字。
呑気に笑う恋人にいらついて、目の前の身体を強く抱きしめる。
驚いたのか、伊野尾の手から便箋が滑り落ちて、ひらひら舞っていった。
「…妬いた？」
やぶ、って甘ったるく呼ぶ声に、これが狙いか、と溜息をついた。
「…妬いた」
拗ねた顔を見られないように逸らすけど、伊野尾はお見通しに違いない。
「俺、顔で決めるようなヤツ嫌だし、」
「そもそも年下は論外だし、」
俺には、やぶしかいないよ。って、ありきたりな言葉と、キス。
だけど、そんなんで機嫌直しちゃう俺も大概だよなあ。
(終)
(…ちゃんと断れよ)
(付き合ってる人がいたら、笑い話にしてください、だってさ)
(笑い事じゃねえよ)
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かじ(プロフ) - 佐々木さん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいです。拙い文ですが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。 (2018年7月5日 0時) (
レス) id: cc9d60b609 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 - すぺてのお話がキュンキュンします。次のお話も楽しみにしています。 (2018年7月3日 21時) (レス) id: e2f78d2bae (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - 特にことばにできないが大好きです！伊野尾くんが幼い感じのおはなし待ってますね、、、 (2018年6月27日 22時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
かじ(プロフ) - 琳さん» はじめまして。ご丁寧に感想をありがとうございます。恐縮です。拙い文ですがこれからも読んでいただけると嬉しいです^ - ^ (2018年6月27日 22時) (レス) id: 76a26e19db (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - かじさんはじめまして！いつも楽しく読ませてもらってます！！すごく大好きなお話ばかりで更新が楽しみで仕方ないです(*´∀｀*)これからも頑張ってください！ (2018年6月27日 21時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かじ | 作成日時：2018年6月17日 23時
