. ページ23
だからごめんね。奥の手を使うよ。
「いのちゃん、俺、何かしちゃったかなあ」
同じようにいのちゃんの肩に顔を埋めて、できるだけ悲しそうに呟いてみる。
明らかにしょげた俺の声を聞いて、閉じ込めた腕の中でいのちゃんがばたばたと身じろぎしだした。
少しだけ身体が離されて、俺の首にまわされていた手が解けて、俺の頬を柔らかく包む。
やっと合った目はうるうるで、今にも涙が溢れそう。
「ちがう、ゆうと、」
ちがうの、って。
俺のせいで泣いてるわけじゃない、って必死に伝えてくれる。
けどここで喜ぶのはまだ早い。
なんで泣いてるかをちゃんと聞き出しておかなきゃ、いのちゃんを安心させてあげられないかもしれない。
でも、って言って、まだまだ悲しそうな顔をしていのちゃんに食い下がる。
「んん、ちがう、おれ、」
一旦区切って、悔しそうな顔。焦るあまり、とうとう涙がぼろぼろ溢れてしまった。
それを拭いながら、俺は次の言葉をじっと待つ。
いのちゃんはとうとう根負けして、不安と弱音を吐き出した。
「ゆうと、たいへん、おれ。」
「おれ、はなし、へた、」
「お、おれ、ゆうと、じゃま、いや」
「ゆうと、すき、ゆうと」
ちょっと待った嘘だろ可愛すぎる。
あまりの可愛さに耐えらんなくて思い切り抱きしめた。
もういのちゃんは頭が軽くショートして、しゃくりあげながら「すき」と「ゆうと」を繰り返すばっかり。
多分あんまり聞こえてないだろうけど、抱きしめながらちゃんと言い聞かせよう。
「いのちゃん、俺いのちゃんとお喋りするの大好きなんだよ?いのちゃんがいつも俺のために頑張ってお喋りして、俺のわがまま聞いてくれてるのに、どうしてそんな風に思うかなあ。」
あまりにも泣いてしゃくりあげるから、もう目がとろんとしてる。
きっと酸欠で頭がぼんやりしてきたところだろう。
「ゆ、と。すき?おれ、すき…」
「おれもいのちゃんのこと、愛してるよ。」
絶対離してあげないからね、って。
君の目が覚めたら、嫌という程教えてあげる。
(終)
(なんで急に不安になっちゃったの?)
(だいちゃん、でんわ。んん…、ゆうとたいへん、いった)
(大ちゃん…無事でいられると思うなよ。)
とっ散らかったまま書いたから、この話は別にどうにかする。
296人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かじ(プロフ) - 佐々木さん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいです。拙い文ですが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。 (2018年7月5日 0時) (レス) id: cc9d60b609 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 - すぺてのお話がキュンキュンします。次のお話も楽しみにしています。 (2018年7月3日 21時) (レス) id: e2f78d2bae (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - 特にことばにできないが大好きです!伊野尾くんが幼い感じのおはなし待ってますね、、、 (2018年6月27日 22時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
かじ(プロフ) - 琳さん» はじめまして。ご丁寧に感想をありがとうございます。恐縮です。拙い文ですがこれからも読んでいただけると嬉しいです^ - ^ (2018年6月27日 22時) (レス) id: 76a26e19db (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - かじさんはじめまして!いつも楽しく読ませてもらってます!!すごく大好きなお話ばかりで更新が楽しみで仕方ないです(*´∀`*)これからも頑張ってください! (2018年6月27日 21時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かじ | 作成日時:2018年6月17日 23時