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だからごめんね。奥の手を使うよ。

「いのちゃん、俺、何かしちゃったかなあ」

同じようにいのちゃんの肩に顔を埋めて、できるだけ悲しそうに呟いてみる。
明らかにしょげた俺の声を聞いて、閉じ込めた腕の中でいのちゃんがばたばたと身じろぎしだした。

少しだけ身体が離されて、俺の首にまわされていた手が解けて、俺の頬を柔らかく包む。
やっと合った目はうるうるで、今にも涙が溢れそう。

「ちがう、ゆうと、」

ちがうの、って。
俺のせいで泣いてるわけじゃない、って必死に伝えてくれる。
けどここで喜ぶのはまだ早い。
なんで泣いてるかをちゃんと聞き出しておかなきゃ、いのちゃんを安心させてあげられないかもしれない。

でも、って言って、まだまだ悲しそうな顔をしていのちゃんに食い下がる。

「んん、ちがう、おれ、」

一旦区切って、悔しそうな顔。焦るあまり、とうとう涙がぼろぼろ溢れてしまった。
それを拭いながら、俺は次の言葉をじっと待つ。
いのちゃんはとうとう根負けして、不安と弱音を吐き出した。

「ゆうと、たいへん、おれ。」
「おれ、はなし、へた、」

「お、おれ、ゆうと、じゃま、いや」


「ゆうと、すき、ゆうと」

ちょっと待った嘘だろ可愛すぎる。

あまりの可愛さに耐えらんなくて思い切り抱きしめた。
もういのちゃんは頭が軽くショートして、しゃくりあげながら「すき」と「ゆうと」を繰り返すばっかり。

多分あんまり聞こえてないだろうけど、抱きしめながらちゃんと言い聞かせよう。

「いのちゃん、俺いのちゃんとお喋りするの大好きなんだよ?いのちゃんがいつも俺のために頑張ってお喋りして、俺のわがまま聞いてくれてるのに、どうしてそんな風に思うかなあ。」

あまりにも泣いてしゃくりあげるから、もう目がとろんとしてる。
きっと酸欠で頭がぼんやりしてきたところだろう。


「ゆ、と。すき?おれ、すき…」

「おれもいのちゃんのこと、愛してるよ。」



絶対離してあげないからね、って。
君の目が覚めたら、嫌という程教えてあげる。

(終)

(なんで急に不安になっちゃったの?)
(だいちゃん、でんわ。んん…、ゆうとたいへん、いった)
(大ちゃん…無事でいられると思うなよ。)


とっ散らかったまま書いたから、この話は別にどうにかする。

さよならの季節 ytin→←.



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かじ(プロフ) - 佐々木さん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいです。拙い文ですが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。 (2018年7月5日 0時) (レス) id: cc9d60b609 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 - すぺてのお話がキュンキュンします。次のお話も楽しみにしています。 (2018年7月3日 21時) (レス) id: e2f78d2bae (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 特にことばにできないが大好きです!伊野尾くんが幼い感じのおはなし待ってますね、、、 (2018年6月27日 22時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
かじ(プロフ) - 琳さん» はじめまして。ご丁寧に感想をありがとうございます。恐縮です。拙い文ですがこれからも読んでいただけると嬉しいです^ - ^ (2018年6月27日 22時) (レス) id: 76a26e19db (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - かじさんはじめまして!いつも楽しく読ませてもらってます!!すごく大好きなお話ばかりで更新が楽しみで仕方ないです(*´∀`*)これからも頑張ってください! (2018年6月27日 21時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かじ | 作成日時:2018年6月17日 23時

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