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そんな感じで、6月21日。
基本的に寝るのが早い家族が寝静まった頃に、薮が俺を迎えに来た。
ここ最近、薮は夜歩きにハマっているらしい。
酷い時には4時間くらい、隣町まで足を運ぶこともある、と言った。
前々からこの話は聞いていたけど。
口の悪さは別として、素行が良い、筈の俺にとっては、完全に未知の世界だった。
この時間だと、まだ車がよく通るから、とキャップを無理やり被らされた。
お前はつけてないくせに、って文句を言おうと思ったけど、盗み見た顔が気持ち悪いくらい優しくて、結局言えずに飲み込んでしまった。
繋がれた左手がじんわり熱くて、夜はまだ肌寒いはずなのに、顔が火照って仕方がない。
なんとか隠そうと思ってちょっと身じろぎした時、
あ、って薮が急に立ち止まるから、大げさにビクついてしまった。
当の本人はそれに気づいてないみたいだった。呑気に、ちょっとこれ持ってて、なんていつも学校で付けてる黒の時計を渡された。
表示は23時59分、あと10秒足らずで次の日がやってくる。
あれ？
これ、なんか
いつもやぶが使ってる時計より、
「誕生日おめでとう、いのお」
新しいな、って思う前に、薮が時計ごと俺の手を握った。
「あと、お前のこと好き」
は、って、声にならない音がした。
「これが、今年の誕生日プレゼント。」
お揃いな、って。よく見たら薮の左手首に、見慣れた黒の時計。
「ついでに、俺もやるよ」
大サービスだぞ、ってやけに饒舌。しばらく俺は呆けたまんまで、のろのろと顔を上げる。
真っ赤な顔で俺を見つめる、薮と目が合った。
心臓がきゅんって音を立てる。
それだけで息が詰まって、何にも言えなくなった。繋がったままの手はさらにぎゅっと強く握られて、顔が溶けるんじゃないかってくらい熱いのに、どうしようもなくて、
とりあえず、思いっきり薮の胸へと飛び込んだ。
(終)
誕生日前に誕生日の話書いちゃった。
キザで背伸びする薮ちゃんを書きたかっただけ。
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かじ(プロフ) - 佐々木さん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいです。拙い文ですが、楽しんで読んでもらえたら幸いです。 (2018年7月5日 0時) (
レス) id: cc9d60b609 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 - すぺてのお話がキュンキュンします。次のお話も楽しみにしています。 (2018年7月3日 21時) (レス) id: e2f78d2bae (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - 特にことばにできないが大好きです！伊野尾くんが幼い感じのおはなし待ってますね、、、 (2018年6月27日 22時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
かじ(プロフ) - 琳さん» はじめまして。ご丁寧に感想をありがとうございます。恐縮です。拙い文ですがこれからも読んでいただけると嬉しいです^ - ^ (2018年6月27日 22時) (レス) id: 76a26e19db (このIDを非表示/違反報告)
琳(プロフ) - かじさんはじめまして！いつも楽しく読ませてもらってます！！すごく大好きなお話ばかりで更新が楽しみで仕方ないです(*´∀｀*)これからも頑張ってください！ (2018年6月27日 21時) (レス) id: fb58b76c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かじ | 作成日時：2018年6月17日 23時
