【HP】The KINGS【爺世代】 (ページ37)

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「人が住んでいるんですか？」

リドルが聞くと、セブンがそっぽを向いて噴き出した。

首を傾げる彼に、ガーベラはちょっと眉を寄せながら言う。

「実家です」

「……えっ」

魔法界に足を踏み入れて日が浅いリドルは、ゴーント家がどういった運命を辿ってきたのか未だ知らない。

こんな傾いた小屋が、純血一族の屋敷？

困惑するリドルを他所に、ガーベラは蛇の死骸を避けて扉に拳を三回打ちつけ、離れて待った。

しかしそれが開く気配も、さらには人の気配すらない。

ガーベラは溜息をついて、勝手に鍵の無い扉を開ける。

その瞬間、思わずリドルは顔を顰めた。

経験したことのない悪臭が鼻を衝く。

隣のセブンは我慢せずに呻いた。

ガーベラだけはちょっと息を吐いただけで、「ちょっとここで待ってて」と言ってずかずかと家の中へ入っていく。

暫くして、中から囁きのような音が漏れ聞こえてきた。

『それじゃ、爺さんは本当に死んだわけだ？』

『死んだ。何年も前に死んだんだろうが？』

『知らないよ。こっちが気遣って何回か金と手紙を送ったのに、一回もふくろうが返ってこなかった。おかげでディペットに学校のふくろうを使用禁止にされた。無視してるけど』

『おめえ、久しぶりに顔見せやがったと思ったらなんだ？』

『客を連れてきた。でもこの家臭すぎるから、あんたが外に出てきてくれる？』

少しの物音がして、それから大げさな足音と共に一人の男がガーベラの後ろから姿を現した。

リドルは目を見開く。

男の髪はぼうぼうで泥にまみれ、小さい眼はそれぞれ逆の方向を見ている。

ガーベラはカリカリと頬を掻いて、そして気まずそうに言った。

「父です」

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