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その日の授業が終わると、ユリはやっぱり心配で、さっきのトイレに戻った。
「ハーマイオニー？」
「ユリ……まだ、もうちょっと待ってちょうだい」
「ハロウィーンのごちそうが出てるよ」
「今食事の気分じゃないわ」
「おいしいもの食べれば元気になるよ」
「それ、あなただけよ」
「うそだ！」
ハーマイオニーが個室のドアの向こうでくすりと笑ったのを感じる。
「……そうね、出るわ。ありがとう、ユリ」
「うんっ。バームブラックがたべたいなあ。ウチはいっつもお菓子が入ってるんだけど。ホグワーツのはなんだろう」
「ユリったら！」
呆れたように笑いながら出てきたその目は、真っ赤に腫れていた。
ずっと泣いていたんだろうか。
授業なんか…マァ、魔法薬学は一大事だけど、サボって彼女の隣にいたほうがよかっただろうか。
ユリはそれがわからなかったけれど、きっとこれでいいんだと思い直して、ハーマイオニーの手を引きトイレから出ようとした。
足を止める。
「何か、聞こえない？」
低いブァーブァーという音が聞こえる。
これは…唸り声だろうか？
ホグワーツの城の中で、一体どうして。
トイレを出るのが躊躇われ、ユリとハーマイオニーは互いの手をぎゅっと握った。
どうもその音がこちらに近づいてくる。
「一回隠れる？」
「そうしましょう」
二人は個室に入り、扉の隙間からそっと外を覗った。
「ヒッ」
ユリはそんな喉が潰れたような声しか出せなかったが、ハーマイオニーの悲鳴と言ったら、心臓が止まりそうなものだった。
音の正体はこの、四メートルはあろうかというモンスターの唸り声だったのだ。
二人は声も出ず、縮み上がってくっついた。
今までずっと、魔法なしで生きてきた二人だ。
こういう時のために魔法があると、そう直結して考えることができなかった。
なので、突入してきたハリーとロンが神様のように見えたのだ。
事が終わった時、ユリは少し泣いていた。
死ぬかと思った。
まさか、自分が百歳超えたじいちゃんより先に死ぬんだと思った。
恐怖で喉が張り付いて声を出すのもやっとで、ユリは小さな声でハリーとロンにありがとう、と言った。
ハーマイオニーと繋いだ手は、どちらも震えすぎてよくわからないことになっている。
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にはろ(プロフ) - 理緒さん» ご意見ありがとうございます！修正しました。今後ユリという名前に関する記述が少し出てくるかと思いますが、無視していただければ大丈夫です。 (2022年4月19日 21時) (
レス) id: f8ad011ce4 (このIDを非表示/違反報告)
理緒(プロフ) - 名前ってユリになってるんですがリノを使いたいのですが変えれませんか？ (2022年4月19日 10時) (レス) id: 946438c0c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みや。 | 作成日時：2022年1月24日 13時
