検索窓
今日:15 hit、昨日:5 hit、合計:317,697 hit

37夜 story ページ45

俺をのぬらしていた雨は誰かによって塞がれた

「こっち向け」

嫌だ向きたくない

知ってる声だ、何度も聞いた

恵斗「部外者は立ち入らないでください」

俺の心に立ち入らないで

そのまま 何もせずにいなくなって

そんなことが叶うわけもなく無理やり体を向かされた

水樹「俺ここのOBだから、部外者じゃない」

そんなことを言うためにあんたはこんなことをしたのか

それなら早く立ち去ってくれ

恵斗「なんでここにいるんですか」

水樹さんの顔を見れるわけもなく視線をそらす

水樹「つくならもっとましな嘘にしろ、今まで勉強なんてしてなかったのにいきなりそんな事言ったらだれでも疑う」

あきれたような口調で言葉が並べられる

あぁ もうこれで俺は正真正銘のひとりぼっちだ

水樹「なにか抱え込んでるとは少し前に思った
でも お前に限ってそんなことないと思っていたがまさかな」

やめて、わかってるから、それ以上のことは言わないで、あなたがいなくなったら すぐに消えるから

水樹「最初家にいると思ったが すぐに違うってわかった 絶対にここにいるって分かった」

言葉が声が どんどん聞こえなくなる
聞きたくないと思うからか、それとも意識が遠くなっているからか、どちらにせよ好都合だった
これで 聞かなくてすむ

水樹「なんで、俺に相談しなかった!」

突然大きな声を出され思わず 水樹さんの顔を見る
泣きそうなでも、どこか安心したような顔だった

水樹「お前がここで倒れてるのを見た時一瞬息ができなくなった。
俺の無力さで また同じことを繰り返してしまったと思った」

どうしてだろう、さっきまで聞きたくなかった言葉が 胸にどんどん響いてくる

水樹「お前に近づいて生きてるのがわかった途端 安心した、同時に怒りも感じた
なんで 何も言ってくれなかったんだって」

雨ではない あたたかい雫が地面と俺を濡らす

水樹「俺は頼りないか、俺じゃお前を助けてやることは出来ないのか」

その言葉がぐっと 心の奥にあった何かを動かした

自分が先輩と同じような立場になって忘れてしまっていた気持ち

先輩から頼ってもらえない辛さ、悲しみ、悔しさ

知っていた わかっていたはずなのに水樹さんも同じ気持ちで苦しんでたのに また 同じ思いをさせてしまった

水樹「俺を頼れ、お前のことを傷つけたり見捨てたりなんてしない、お前を必ず守るから」

ぎゅっと抱きしめられる

冷えきった体に温もりが広がった

38夜 end→←36夜 another



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (219 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
129人がお気に入り
設定タグ:男主 , オリジナル , 死ネタ , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

氷雨(プロフ) - とてもいい作品でした。目から海水が止まりませんでした… (2020年8月3日 0時) (レス) id: e23249d0ee (このIDを非表示/違反報告)
爽雫 - 私は涙もろい方なのですが、やっぱりこの作品は号泣してしまいました。夢主の家族、結末辛いです…。横になりながら読んでて涙やばくて思わず起きてしまいました泣感動しました!この作品を投稿してくれてありがとうございます。 (2019年9月3日 23時) (レス) id: c8b0ff9423 (このIDを非表示/違反報告)
海戀 - とてもいいストーリーでした! 最後は目から塩水が大量です、、 (2019年8月4日 1時) (レス) id: a4dbcae652 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず味噌 - とてもいい作品でした。 (2019年7月20日 22時) (レス) id: 0ae31ba38b (このIDを非表示/違反報告)
白亜(プロフ) - とてもいい作品でした。いい作品… (2018年12月13日 18時) (レス) id: 44daa19fd7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:餅草ぶんた | 作成日時:2013年6月15日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。