咲いた花は・・【男主】

30夜 ページ35

あ「なんだよ・・・これ・・・」

目の前の景色に唖然とする

こんなの俺の時と同じ・・・

あ「凉っ！」

急いで凉の部屋に向かう

扉の前からは血液の匂い

鉄の錆ついた匂いが扉から染み出てきている

震える手でドアを開ける

あ「凉・・・？」

顔をしかめるほどの匂い

でもこの匂いを嗅いだことがある

この錆臭い匂い 異臭

過去に何度も書いだことがある

見たくない

みたくない

信じない

生暖かい液状のものが俺の靴下を染めていく

何かのが見ていないのに分かる

そっと目を開ける

あ「・・・んで・・・なんでなんだよ！！」

真っ赤に染まった制服が浮いている

床に転がる椅子

壁一面の血

カーテンは引き裂かれ

ベッドもズタズタになっている

あらゆるところにカッターとハサミ

俺が捨てといてと頼んだ大量のカッターやハサミもあった

あ「なにしてんだよっ・・・」

夢よりもひどい

なんでこんなふうにお前がなっているんだよ

膝から崩れ落ちた

同時に上から凉が落ちてきた

首をつる前に刺したみたいだ

体中から血があふれでている

あ「枯れた俺に水をくれるんじゃなかったのかよ」

床にどんどん広がる血

あ「俺はお前に恩を返そうと思っていたのに
お前にまだ何も出来てないのに・・・なんでお前は死んでんだよっ！」

もう話すことのできない凉に怒鳴る

あ「なぁ・・・またお兄ちゃんっていえよ・・・
ほら・・・ここ一人でなんて片付けれないよ・・・起きろよ・・・頼むからっ」

なんでなんで

あ「泣けないんだよ・・・」

こんなにも辛いのに

なんで泣けないんだよ

俺は ほんとに泣けなくったのかよ

ベッドの下にある手紙が目に入った

あ「なんだこれ・・・」

手紙には凉の字で“お兄ちゃんへ”と書かれていた

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