名探偵と踊ろうか 参 ページ38
『あー……、初めまして。あか、』
凪は一瞬考えた。此処で本名を出すのは──得策ではない。
『あか、赤井、……えー、…………夜霧です』
赤井の名に、少年──コナンは思わず反応する。
赤井? まさか赤井さんの? いや、同姓なだけか?
「へえ、夜霧……変わったお名前ですね」
『は、はは』
まるで男の子のようだ、と小五郎が云うと、何故か凪は視線を合わせずに乾いた笑いを漏らした。目が死んでいる。如何したのだろうか。
「いや、娘が済みませんね」
「本当に御免なさい……!」
『いやいや……はは』
実を云うとすごく痛い。めちゃくちゃ痛い。頭がガンガンに鳴っているが、凪はそれをガン無視して会話を続けた。
それにしても、と小五郎は夜霧を見た。
「随分とお若いようですが、御年は?」
『女性に歳を訊くもんじゃないですようふふ』
「こ、これは失敬」
あっぶねーー!! と、凪は心の中で叫んだ。高校生なんて云ったら事情を詮索されるに決まっている。
はあ、と凪は軽く溜め息を吐いた。そして、
『さっきからずっと私の方を見てるけど、如何かしたのかい?少年』
コナンは見抜かれていたことに少し動揺しつつも、凪に思い切って問い掛けた。
「……お姉さん、さっきポアロに居たよね?」
『それが如何したの?』
「凄く慌ててたけど、何かあったの?」
凪は軽く笑った。
『何もねえよ。少年』
さて、と凪はソファから立ち上がった。頭の痛みも引いて来た。もう行こう。
『じゃあそろそろ失礼しますね』
「あ、はい!」
まずい、とコナンは思った。このままでは彼女を逃がしてしまう。組織に繋がる情報を彼女は持っているかもしれない。
コナンは「待って!」と凪に抱き着いた。
『ん? 如何した少年』
「も、もう帰るの?」
『ああ』
そっか、とコナンは残念そうにした。発信機は取り付けた。これで後をつければ、問題無い。
凪はコナンをじっと見つめると。
『ちょっと借りるぞ少年』
「え、うわあ!」
凪は事務所の外に一旦出ると、自らに取り付けられた発信機をコナンに見せた。
『こういうのは良くないなあ、少年』
「……ご、」
『それと一つ伝言を頼みたいんだが』
謝ろうとしたコナンの言葉に被せ気味に凪は云った。
『あの金髪女たらしに云っといてくれ。もうちょい一般人のこと考えろってな』
「……は?」
凪はニヤリと笑うと、『じゃあな』と手を振り街角に消えた。
莫迦は風邪を… ・ゆっぴ/唯華c様リクエスト→←名探偵と踊ろうか 弐
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とあるアニメーター - マジですか!!!ありがとうございます!お願いします! (2020年1月21日 21時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - とあるアニメーターさん» へえーいいですねえ!やらせて頂きますとも、何かかなり滅茶苦茶な展開になりそうですが……(笑)。 (2020年1月21日 18時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
とあるアニメーター - そうですか!良かったです!リクエストで、そうだ、番外編作っちゃおう!と思った今日この頃の第3段を記念して…。みたいな感じで、今日この頃シリーズで出てきた文ストキャラ達をたくさん出してほしいです!こちらも長めになって良いので、よろしければお願いします! (2020年1月21日 18時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - とあるアニメーターさん» ええ勿論!ちょっと遅くなるかもしれませんが番外編もとうとう三!……ひええマジかあ。 (2020年1月21日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
とあるアニメーター - この番外編、続編行きますか? 続編作って頂けたら、またリクエストしたいです。 (2020年1月20日 21時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作成日時:2019年7月6日 21時