辰哉君は私の全て (ページ15)

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ゆっくりと、ベッドに寝かせる。

時折辛そうに顔を顰めながら荒く息をするAが可哀想で仕方ない。

ここ最近頑張ってたもんな、しょうがない。

『…………ぅっ、』

辰「A？起きた？」

『……………ん、』

真っ赤な顔で目をとろんとさせて、こちらをぼーっと見つめるA。

『………たつや、く、？』

…………あ、

辰「…………そ。辰哉くん。わかる？
熱また上がってきたから、今日はゆっくり寝な？」

寝かしつけた後、薬でも買いに行くか。
そう思ってゆっくりと頭を撫でれば

『……………どっか、

行っちゃうの？』

まるで俺の心を読み取ったかのようにそう言って、うりゅ、と目を潤ますA。

辰「…………薬だけ買いに行ってくるから、
Aお利口さんだから、待ってられるもんね？」

『…………………ぅ、』

口をぎゅっと噤む。

どっちだよ、それ。

辰「…………A、すぐ帰るから、

『ゃ………、だ』

へ？

『行っちゃ、ゃ、だ』

ぎゅっと俺の袖を掴む。

『……辰哉く、行かないで、

めぐ、って、呼ばないで、

たつ、ゃく、……………、』

そのまま目を瞑るA。

俺はしばらく茫然と立ち尽くしたまま、苦しそうに眠るAを黙って見つめる事しか出来なかった。

…………なぁ、A。

お前、俺の事、なんだと思ってんの？

めぐって呼ばないで、って何？

なべと、付き合ってんだろ？

頼むから、これ以上俺を振り回さないでほしい。

…………そう思うなら、はやくなべに連絡して、バトンタッチすればいいのに、

スマホがブブッと震える。

"翔太からの着信"

辰「…………っ、くそ」

そう思うならこの電話に出ればいいのに。

ズルくて弱い俺は、

めぐが熱出してるから看病代わって

って、

言えない。

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