照兄の彼女になりたい5

2 ページ2

.







照「あー、まじでパスタ美味しかったな〜」


『それはどうも』




食べ終わった食器を洗って、片付けをする。

手伝おうか？って言ってくれたけど、お客様なので、と断った。




今はリビングのソファで私の差し出したココアを美味しそうにちびちび飲んでいる彼。





照「こんな美味しいご飯毎日出てきたら最高だな。
嫁に来てよ」


『人の話聞いてました？彼氏いるんです』




片付け終わり、自分の分のカフェインレスのコーヒーを淹れ、リビングへ向かう。


真ん中に座っていた彼が、少し横にずれる。

その隣に、ゆっくり腰掛けた。









照「はやく別れてよ」


『馬鹿なの？簡単にはい別れましょうなんて言える関係じゃないもん』





照「は？結婚してないんだから普通に別れられるだろ」





『プロポーズされました。オーストラリアで』









.









ゆっくりとコーヒーに口をつける。


あんまり知られたくなかったけど、これは自分への牽制。


これ以上、ひーくんを気にならないように。






先程から音がしなくなったのを不思議に思い、隣を見てみると、



目をこれでもかというほど開き、こちらを見たまま微動だにしないひーくんの姿が。









『……………なに』







照「…………プロポーズされたの？」








いつもの気怠そうな喋り方じゃない。

低くて、少し乾いてて、とても儚げな声色。




ねえ、なんでそんな驚くの？


全部いつもの冗談なんじゃないの？








『………されたよ』







照「結婚、すんの？」







なんで








『なんでそんな顔するの？』






なんで、





そんな泣きそうな顔するの？









.









照「……………ダメだから」








『へ？』









照「絶対ダメ」






『いや、なんでひーくんにそんな事言われなきゃいけないの、







.







照「Aは、俺のだから」









.








その刹那、






ぐいっと腕を引かれたかと思うと、







.







震えながら重なる、





唇。








.

3→←1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す