照兄の彼女になりたい5

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照「………やばい」


『なに』



いつも一人で寂しくご飯を頂くダイニングテーブルに、本日はお客様がお見えだ。


今日のメニューはトマトパスタと、サラダ。




照「………美味そうすぎる」


『はやく食べなさいよ』




いただきます、ときちんと手を合わせて、フォークにパスタを巻き付け、口に入れるこの男。




照「……ん〜〜！

お〜いしい〜、」



初めて出会った日の、ホットチョコレートを飲んだ時と同じ顔。


くしゃりと笑うと、なくなる目と、
きゅっと閉じられた口。



岩本ひーくん。


なお、下の名前は未だ不明。



年齢もわからないけど、
私と同い年の妹さんがいるみたいなので、
私よりは確実に年上。



職業不明。

ずっと海外でお仕事をしていたらしいが、部署異動の為、帰国。


帰国後のお住まいは




照「時間ある時また作って欲しい、まじで」


『………時間が合えばね』




私の家の隣。




照「嫁に行く準備ばっちりじゃん」


『そんなに美味しかった？
一人暮らしならみんなこんなもんでしょ。

自炊しないの？』


照「俺チャーハンなら得意だよ」



ひとつだけ不可解な事は




『なんでチャーハン？』


照「俺がチャーハン好きだから。
母さんに教えてもらったんだよ。油使わない代わりにマヨネーズ入れんの」



たまに感じる、




『………(私、そのチャーハン知ってるかも)』



謎の、既視感。



照「次は俺の部屋でひーチャーハン食べようね」


『ひーチャーハン？』


照「そ。略してヒーハン」




大人っぽい見た目のくせにどこか可愛らしい一面を持つこの謎の男と接触すると、不思議な現象がよく起こる。





『…………彼女みたいじゃん』



でも、私はこの男にどれだけ興味を持とうが



照「彼女になってよ」


『馬鹿じゃ無いの。もうすでに他の人の彼女です』



彼とは別に、彼氏がいる。






照「前そんなに聞けなかったけどさ、
あのカメラマンの彼氏とはどうやって付き合う事になったの？」





『…………わからないんだよね、それが』





彼からの質問に答えようとする度に、


ズキッ、


頭が痛むのも、その不思議な現象のひとつだ。





照「とりあえず俺そいつからお前の事奪う予定だから覚えといてね」


『はいはい。頑張ってくださいね』




それらの理由を考えようとすると頭痛が悪化するから、このへんでやめておく。



またいつもの冗談を軽くあしらって、
私も食事に手をつけたのだった。



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