照兄の彼女になりたい

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『好きな、人がいるの』




蓮「へぇ」




『ずっと昔から好きで、その人の彼女になりたい、その人と結婚したいって思ってるんだけど、


この先一生叶う事ないの』




蓮「……わかんないじゃんそんなの」




『わかるよ。ちょっと訳ありなんだ』







蓮「そんなのさ、実の兄妹だとかそんな事ない限り、わかんないじゃん何があるか」








…………なんでこう、ピンポイントで当ててくるかなぁ。









蓮「……………………まじか」




『………へ、


へ！！？

何も言ってないじゃん、違うよ！』



蓮「Aって何人兄妹？」


『え？ええと、お兄ちゃんと私と二人兄妹だけど…』


蓮「お兄さん何歳離れてんの？」


『5歳上だけど………』


蓮「まじか。5歳ってわりと離れてるね。
昔から好きって、物心ついた時からとかなの？」


『待ってよ！！！
お兄ちゃんが好きとかそんな事一言も言ってないじゃん、
な、なんでそうなるわけ！？』


蓮「俺こそまだ何も言ってないけど」




しまった、と顔を勢いよく蓮の方に向けた時には、もう遅い。


ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべている、蓮の姿。








最悪だ。




誰にも言えない、絶対知られちゃいけない秘密を、
昨日出会ったばかりの男に知られてしまった。









蓮「そんな睨みつけんなって、安心してよ言わないから」





絶対に他人に知られちゃまずい話。

言わないで欲しいのは勿論なんだけど、









『……………………あのさ、







気持ち悪くないの？



軽蔑しない？


血、繋がってるんだよ』






問題はそこなんだよな。



普通に気持ち悪くないのかな。

ドン引きするのが当たり前だよね、自分の兄に本気で恋してるとか………








蓮「だからどうしたの？



何回も諦めようとしたんでしょ？

でも好きなんでしょ？」






立ち止まって、こちらに視線を向ける蓮。

鋭い眼光。

真剣な眼差し。




なんとなく目を逸らすのは失礼な気がして、蓮の目を見つめ返すけど、あまりの蓮の目のまっすぐさと、それに比べての自分の汚さに、目を瞑ってしまいたくなる。









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