照兄の彼女になりたい

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照「ーー、Aー？
できたよー？」






照兄のその声ではっ、と目を覚ます。



『………うわっ、寝ちゃってた。

照兄、ありがとう』





照「ふふっ、
いいえ、どういたしまして」




振り返ってお礼を伝えると、ニコッと笑ってくれる。


そのまま私の髪の毛を一房すくったあと、パラパラと手離していき、そこへ顔を近づける。





照「ん、この香り似合う。

ほんとAの髪の毛サラサラだよな。
A以上に髪の毛綺麗な人俺見た事ないんだけど」


照兄は私のサラサラのロングヘアが大好きらしく、よく髪の毛を乾かしてくれては、手櫛を入れてみたり、わざとわしゃわしゃと乱暴に撫でてみたり、私の髪の毛で遊んでいる。



『ちゃんとケアしてるからね』




照「女の人って感じだよな。
こんな香りまで纏っちゃって…

誰の為にこんなに綺麗になっていってるんだか」




あんなちっちゃくて泣き虫だったのに、と漏らす照兄の声は、どこか寂しそう。


そのまま黙っちゃう照兄。





『照……兄？』






照「まじでさー、







………なんで兄妹って結婚出来ないんだろーね」







…………へ？






……………………な、に……？




急に黙ったかと思えば、衝撃の発言をする照兄。



それにびっくりしすぎて、照兄がどんな顔してるのか見たいのに、見れない。








『え、と……

て、照兄…？』






照「………っ、




…………もー！！！



こんなに可愛い"妹"いたら、誰だって嫁に出したくなくなるだろ！！！

あーあ、"お兄ちゃん"は寂しいよ、こんなに"妹"が大人になっちゃって！！！」







ズキン、ズキン




胸が痛む。




"妹"

"お兄ちゃん"



そんなワードを繰り返すものだから、一気に現実に戻されたような気分になって、

胸がズキズキする。








『そ、そうだよね………
私達は兄妹だもんねー、』



自分に言い聞かせるように、そう吐き捨てる。






照「あーあ、Aが父さんとバージンロードを歩く姿を見る時が刻一刻と迫ってきてるのが辛いよ、俺は」




明るくそんな事を言うもんだから、さっきの時間は一体なんだったんだろう、と

逆に不思議な気持ちになる。







ねえ、照兄。


あれを何も考えずに、天然でやってるなら



本当に罪な男だと思うよ。









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