爆豪くんにベタ惚れされた2【ヒロアカ】 (ページ10)

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57　救けたかったページ10

次の日に教室へ入るといつもとは違う女子の目線。男子はいつも通りだ。私が黙って席に着くと女子たちはヒソヒソと話を始めた。目線の先は……私だ。

その日から授業に集中できなくなってしまった。葵のあの顔が思い浮かんで先生の話なんか頭に入ってこない。葵とお揃いで使っていたシャープペンシルはペンケースから出す事がなくなった。

一週間が経つ頃に、私は今まで仲良くしてもらっていた女子のグループに呼び出された。本当に怖かった。

「Aさ、葵見捨てたって本当？」

「葵虐められていたの目の前で見てたんでしょ？」

やはり問いかけられた言葉は予想通り。嘘をつく理由なんてない。

『うん…怖くて足が…動かなかった…』

「そんな事聞いてないよ。葵を本当に見捨てたんだよね？女子の間でAのせいで私たちにも悪い噂流れちゃってるんだけど。」

『…ごめん』

全部葵が女子に広めたんだ。葵は女子からは虐められていなかった。男子からだ。男子は暴力までしていたんだから怖いに決まっていた。本当にごめんなさい葵。

「ヒーロー志望の良い子ちゃんが～友達を見捨てたぁ？理由は怖くて足が動かなかったからー？」

逃げなきゃ。ここに居たらおかしくなる。ここにいる皆だって私と同じ状況になったら逃げると思うのに。…ダメだ、こんなこと考えるのも最低だ。私の居場所はないんだ。だったら私の生きる価値は？

気が付いたら走り出していた。あぁ、また逃げたんだね。ヒーローどころか敵(ヴィラン)だよ。また逃げたって噂も女子の間で流れるんだろう。今日で全ての女子から嫌われただろう。友達と私が勝手に思っているだけ。もしあの時、葵を守れていたら……

過ぎた事はもう取り返せない。全部、全部私のせい。仕方ないや。

どんどんどんどんエスカレートしていく虐め。葵は女子を味方につけて私を虐めさせた。毎晩毎晩あの光景を夢で出してくる葵。私は眠れない日々が続いた。