爆豪くんにベタ惚れされた2【ヒロアカ】 (ページ13)

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60　ヒーローのような人ページ13

どれくらい経ったのだろうか。自分で発生させた雨に打たれ、暴風に身を任せた結果全く知らない場所へ来ていた。しかし、もう動く気力すらない。また眠ってしまおうか。

目を開けてもぼやけてよく見えない。そこへ、荒々しい足音を立てて近づいてきた人がいた。

「お前！大丈夫か。家近いか？」

本当にその人の顔は覚えていない。薄れゆく意識とぼやけてよく認識できなかったのだ。

「クッソ…乗れ。取り敢えず俺ン家運ぶ。」

『ヒーローの方…ですか…？』

「まだだ…あと何年かすりゃあオールマイトをも超えるヒーローだ。」

不思議とその人におぶられて落ち着いた。雨のせいで冷えた私の体は温かくなった。

『どうして……こんな雨の日に外へ…？』

「遠くまで走りに行ってたら急に雨降ってきやがった。つかてめェの方が変だろ。」

あぁ、この人は私の個性の被害にあった人だ。何で私を救けてくれるんだろう。

『っ……』

涙は雨がかき消してくれた。優しくしてもらえる事がこんなにも嬉しいとは思わなかった。久しぶりの感情に私は涙を止める事ができなかった。

カッコいい。そうだヒーローという職業はカッコいいんだ。何故敵なんかになろうとしたんだ。それに気づくのに何故時間がかかった？

もう一度ヒーローを目指したい。やっぱり夢諦めたくない。

『救けられた私が…言うのもなんだけどさ…ヒーロー…なれるかな…』

「なれるだろ。そしたらまたどっかで会えるだろ…」

お礼を言おうとした。でも、これ以上声が出なかった。

そこからはよく覚えていない。起きたら知らない部屋に一人。ベットで寝ていた。久しぶりにぐっすり眠った気がする。

"ありがとうございました"とだけ書き残して私は窓を開けて辺りを見回した。本当は直接お礼を言いたかったけれど警察や親に迷惑をかける気がしたのでそうした。

『帰ろう』

その窓から降りて個性をバレないように使い、帰った。何ごともなかったように…自分の部屋へ。

不思議とその日からまたヒーローを目指すようになった。神葉くんのおかげで葵が個性を使ってくることも少なくなった。

「雄英か…最近また頑張り始めたしな。お前なら大丈夫だ。行ってこい！」

『ありがとうございます』

成績を無事取り戻して私はついに雄英高校を受ける事になった。

それでも一部の女子からの虐めはなくならないけれど。

雄英高校に入ってからはその子たちがいないから楽しくなった。