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相「いい雰囲気だね。」
「でしょ？」
フロア内を一通り見渡した彼は、"あそこでAは頑張ってたんだね"とピアノで目線を止める。
「うん。ここに来た頃はあんまり好きじゃなかったんだけど…いまではすごく気に入ってる。」
相「…そう。」
彼と私の行き着いた舞台は大きく違ってしまったけれど、いまはそれをきちんと受け止められる。
相「ウィーンのBARはもう少し大きいよ。
この間見てきたんだ。」
「…そっか。」
相「うん。その時も一人でノンアルコール飲んでた。笑」
"ヴァイオリンとかサックスとか、色んな楽器とセッションしてて楽しそうだったよ"と明るく笑う彼に、
絞り出せるのは気のない返事ばかりで、
私の頭にポンっと温かい掌を乗せると、"ピアノ、聴かせてくれる？"と彼は優しく微笑んだ。
「うん。なにかリクエストはございますか？」
相「そうだな、"ため息"って言おうと思ってたんだけど…」
目線を外して、どこか哀しげな表情で息を漏らしながらそう言った彼。
私に真っ直ぐな瞳が戻ってきた時には、いつもと変わらない柔らかい笑顔を浮かべていた。
相「ショパンのバラード第1番。」
彼のリクエストに、思わず息をのむ。
その瞬間、鼓動が激しく波をたてた、
「………なんで？」
相「さっき支配人に聞いたんだ。最近のAのお気に入りの曲はなんですかって、」
「………」
ーーーletzt…
＜俺、クラシックよくわかんない。＞
＜これ、篠崎さんが弾いたんでしょ？
だったらそれでいいんだけど。＞
ーーー
相「Aの弾くバラ1は素晴らしいって、支配人がそう言ってたよ。」
「………」
相「本当に激情と感傷に溢れてるって、」
ーーーletzt…
＜俺のお気に入りのバラ1は、篠崎さんが弾くやつってこと。＞
ーーー
相「…でも、愛に満ちてるって、」
「………」
相「…聴かせてくれない？バラ1、」
「………」
相「…ダメかな？」
「………ううん、かしこまりました。」
カウンター席を離れ、グランドピアノの前で一礼をする。
まばらな拍手の中顔を上げれば、先程までいたそこには幼馴染の笑顔があって、
少し離れたテーブル席には、
あの夜、無表情なままこちらを見ていた彼の姿が浮かんだ、
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しおり(プロフ) - はじまして。後半号泣でした。切なくて切なくて、涙が止まんなかったです笑これからも楽しんで読ませて頂きます！ (2015年7月18日 0時) (
レス) id: e7ee2124ab (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» ありがとうございます！何度もリピートして頂けて嬉しい限りです/ _ ;気持ちを確かめ合った翌日ですらこんな感じの二人ですからね…ゆっくりと距離を縮めていくのではと思っています(^^)ななさんのお言葉にいつも励まされていました！これからもよろしくお願いします！ (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ママさん» ありがとうございます！早速続編作成させて頂きました(*^^*)これまでとは違った二人も、段々見せていければと思っています。これからもよろしくお願いします(^^) (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - 葛葉さん» こんばんは！急に甘々はこの二人では想像出来ませんでした(^^)ほんわかして頂けて良かったです(*^^*)続編作成致しましたので、そちらでもまたよろしくお願いします！ (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - なつみさん» こんばんは！続編、作成致しました(*^^*)タイトルは作中でも何度も出てきたマラ5です(^^)ありがちですね…笑"続編もよろしくお願いします！ (2013年8月25日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：laiz
| 作成日時：2013年7月25日 19時
