71話目 ページ21
『ふむ・・・』
kr「何悩んでるんだい」
『いや、前世では好き勝手してくれたあいつだけどさ、現世では何もしてないから』
手が出しづらい。流石の私も猪突猛進なんて馬鹿なことはしたくない。現世で何かやらかしてねぇかな、あいつ。
すると
kr「え、あ、気づいてない？」
くられ先生はびっくりしたように口を開ける。
『あ？』
kr「あぁ、まぁそうか。」
一人で納得し珈琲を一口飲むいやまてまてなんの話ししてんだ日本語喋るなら意思疎通してくれ。
kr「実はね、夢見を糾弾出来る材料は現世にある」
『はぁ！？』
今度は私が吃驚して立ち上がる。脚が浮いた椅子が後ろに倒れ、大きな音が響く。
『どういうこと！？』
私の慌てふためく姿が面白いのか、手で口を抑え笑う。
kr「まだまだですね、貴女も」
『答えろ！』
kr「僕は一応教師だからね。答えを教えてしまったら面白くない」
今貴方の愉悦に付き合ってる場合じゃないんだが！？
kr「じゃ、分かりやすくなるようにヒントをあげよう」
わざとらしく分かりやすく、人差し指を一本立てる。
kr「何故夢見は前世の君を蹴落とした？」
『それは夢見が一番になりたいからだろ』
だから唯一で無二の前世の彼女をけした!。
kr「まるで夢見が二番であると確定した言い方だね」
『だってそりゃあそうだろ。あいつは拾われたかなんかで城に来たんだから。少なくとも気にかけられてたはずだ』
経緯は不明だが、彼らなら保護した人間を無下に扱うことはしない。
kr「そうだね。可愛くてか弱くて可哀想な女の子を気にかけない男はそういない。彼女はその分類だった」
『何が言いたいかはっきりしてもらっても？』
くられ先生は口元に歪んだ笑いを見せる。その姿に思わず背筋が凍る。
kr「夢見は現世で幸せな家庭に生まれた。裕福で、両親は健全で、愛情たっぷりに」
『はぁ』
前世とはまるで状況が違う、恵まれた環境ね。
kr「彼女は彼らのヒロインになりたい」
『だろうな』
kr「だけどさ、裕福で、幸せで、全く問題のないヒロインって、つまらないし魅力的じゃないよね」
くられ先生の言い方に首を傾げ、なんとなく学校生活の記憶を流す。
『あ』
思い当たった。ぶち当たった。いやまさか、そんな。だけど考えれば考えるほど、小さな毛玉みたいな違和感が解かれる。
ヒロインとは、不遇で何もできなくて、周りの環境が劣悪で。まるでそれが世界共通の常識の如く共有されている。
それか常識なら、それを夢見が知ってるのなら
『・・・普通そんなことするか』
kr「どう見ても普通じゃないだろ、あの子は」
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レス) @page9 id: 5aa1bb0c09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
| 作成日時：2020年1月24日 16時
