早くお父さんが死にますように (ページ10)

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『僕、アルバイトがしたいんだ』

意を決して言った言葉

それに対しお父さんは

｢アルバイト？｣

『うん、前にダメだって言われたけど、やっぱり経験してみたくて、、』

｢お前には侑李の世話があるだろ｣

『、、短い時間でもいいからっ、何かしら経験が多い方が就活にも役立ちそうだし』

｢生かすも何もないじゃないか｣

その言葉を僕は理解できなかった

でも、次お父さんが放った言葉を理由に僕は理解ができた

｢お前は俺の会社に入るんだ

枠は用意するから私の会社で頑張りなさい｣

僕の中で何かが崩れた音がした

｢なんだ。不満か？｣

『そっ、、そんなことはない』

｢欲しいものは言え。今まで通り与えてやるさ｣

そう言ってリビングからいなくなったお父さん

誰もいない部屋で僕は膝から崩れ落ちた

僕の今の感情を一言で表すと

"絶望"だった

『いけないっ、、、どこにも行けないじゃないかっ、、！！！！』

どこにも….…逃げられない

僕は一生、何も出来ずにお父さんの言いなりでいるしかない、、

そんな時思い出した侑李の一言

｢｢うちのお父さんも殺してくれたら良かったのに｣｣

『侑李の言う通りだっ、、あの人さえいなければっ、、どこにだって行けるのにっ、、』

寝室に戻りこれからどうしようと考えていた

どうしようも何も、解決策なんて見つからずただ時間が過ぎていくだけだった

そんな時、聞こえた侑李の歌声

僕は寝室から抜けリビングに行くと

窓を開けて歌っている侑李がいた

『侑李？』

その言葉に侑李は体をビクッと驚かせ振り向いた

｢なんだ、、お兄ちゃんか、、｣

『どうしたの？こんな夜遅くまで』

侑李が俯きながら、

｢眠れなくて、、、｣

『そっか、、お兄ちゃんと一緒だね』

そう言って隣に腰をかける

｢あのね、侑李はね将来歌手になりたいんだ。｣

『知ってるよ？侑李は歌が上手だもんね』

｢上手じゃないけど、僕の声で誰かが勇気とか元気を貰ってたらいいなって

そのためだったら僕、なんでもやるよ
たとえどんなに辛い思いをしたって諦めないよ｣

普段見せないような真剣な顔をした侑李に僕は少し成長を感じた

小さい頃はお兄ちゃんお兄ちゃんって泣きついてきたのに

今じゃもう1人でなんでも出来るような顔をしていた

『そっか。それなら頑張らなきゃね』

侑李は大きく頷いた