【Genshin】ならばあなたと生きましょう (ページ43)

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「……なんであたしなの」
「俺の我儘で、レンジャーから引き抜いた」
「なんで何もさせてくれないの」
「怪我をさせたくない」
「あたしのことどう思ってんの」
「好きだ」

ずるい人だなぁ。そうやって気持ちを伝えるんだ。こんなに勘違いさせて、怒らせて、あんたはちょっと反省しながら言うんだね。
ちょっと面白いじゃん。

「ふふ、好きなの？」
「……なんで笑うんだ」
「可笑しくて。ウケる、めっちゃあたしのこと好きじゃん」

また不思議そうな顔してる。そうだろうなぁ。自分の笑いのツボも理解してないのに、人を笑わせようとするのはセノくらいだもん。
あたしから教えてあげようかな、人と仲良くする方法。

「あぁ、好きだぞ」
「……うん、そうだね」
「分かってないだろう。俺がどんな気持ちでAに言ってるか」
「なに、どゆこと」

表情があんまり変わらないから、どう思ってるかも分かんないよ。
そう言おうと思った。いや、言う気満々だった。
至近距離のセノの顔、ほぼゼロ距離。どくどくとうるさい心臓の音。少し照れてるのも分かる。
……嘘つけよ。

「……キス、してもいいか」
「する前に言うことがあるだろ。順序踏め」

ついてくれないかぁ。こんな所で冗談言うような人じゃないもんな。
いや、それでいいかもな。理由が分かればそれでいい。セノから歩み寄ってくれたなら、それに応えたい。
学生時代、教令院で1番問題児で口の悪かったあたしを怒んなかったんだもん。

「……好きだ。俺と、付き合ってくれ」

ほんとあたしに甘いよなぁ、この人は。
こんなに甘いのも、好いてくれるのも、照れた顔を見せてくれるのも、きっと世界であたしにだけなんだろうな。ああ、優越感。いいだろ、って感じ。

「ようやく言ったな！」

そりゃ嬉しいよ。大好きなんだもん。
少し離れたセノを抱き寄せて、あたしからキスをした。
そうやって驚いた顔も愛おしいよ、なんて言ったら照れるかな。

後日、晴れて付き合ったことティナリに報告。

「あぁ、ようやく付き合ったんだ？全く、双方から相談される僕の身にもなってよね。さっさとくっつけばいいのにと思って色々やってやったんだからさ、何かお礼をしてくれたっていいんじゃない」

大変呆れた顔でそう言われた。