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「……ほんとに?」
「あぁ、もちろん!」
そう言ってから、重雲は私のことをぎゅっと抱きしめてくれた。私もすごく嬉しくなって、ぎゅっとし返す。重雲の体温がぽかぽかと暖かくて、幸せで、嬉しくて。幸せなまま、眠ってしまいそう。
私はとっても優しい重雲が大好き。いつも私のことを心配してくれてる。だから私も重雲に優しくしたいし、心配しちゃう。
「重雲、私知ってるんだよ。重雲がいつも頑張ってるの」
「ありがとう。ちゃんと言われるとなんだか照れるな」
「えへへ。だから……これからも一緒にいて、私のこと守ってほしいな」
「もちろん。Aのことは僕が守る」
心配されるのは、いつも私の方だからなぁ。うん、でも本当に、重雲と沢山会って触れ合うようになってから、体調が良くなったから。そういう意味でも、重雲は私を守ってくれてる。
ようまのことも、ようまたいじのことも、何回聞いても分からないけど……でも、重雲が頑張れる助けになれてるならそれでいい。
私は、私にしかできないことをやりたいから。
「そうだ、A。最近体調はどうだ? 変なものは見なくなったか?」
「体調ばっちり! 変なものも見えない! 最近は……あ、いまも! 黒いふわふわの猫ちゃんが見えるよ!」
「ふむ、そうか……なぁA、この後まだ暇か? 暇なら僕とデートをしよう」
「デート……デート! する! 行く!」
ありゃ……今少しだけ、難しい顔をしちゃった。なんか変なこと言ったかな? でもでもデートに誘ってくれたし、機嫌が悪くなった訳じゃないのかな……? たまに重雲のことが分からなくなる。重雲はよく、私のことを「不思議ちゃん」って言うけど、重雲も不思議ちゃんだと思うなぁ。
私は重雲が差し出してくれた左手を、右手でぎゅっと握る。そしたら、重雲がするりと指と指を絡めた。私が首を傾げていると、重雲は照れたように笑った。
「この繋ぎ方、恋人繋ぎって言うんだって。僕達恋人だし、やってもいいかなと思って」
「はわ……な、なんか距離が近くてドキドキするね」
「……思ったよりも、近いな。アイスでも食べるか?」
「……う、いらない。このままがいい……」
「……わかった」
にゃお、遠くの方で黒猫が鳴いた。なんだか悲しそうな鳴き方だったから、後ろを振り返ってみた。
さっきまで私のことを見つめてくれていた猫ちゃんが居なくなっていた。
(11) ちゃんと収めて、見て凪いで。--Amber→←拾 それでもいいっていってみて。--Chongyun
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