【Genshin】ならばあなたと生きましょう (ページ20)

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「……え？」

感情が止まらない。1度吐き出した思いは、ズルズルと、まるで繋がった鎖のように、胸の奥から引きずり出されてくる。
ずっと伝えたかった。帰ってきたら、と思っていた。それでも我慢できなくて、会いに来てしまった。私は彼の目を見つめたまま、少し泣きそうになりながら、震えた声で続ける。

「……アヤックスが好き。たまらないくらい、どうしようもないくらい、多少の危険さえも厭わないくらい、アヤックスのことが、好き。
「ずっと前から好きだったの。でも、気持ちに気付いたのは最近で。アヤックスがお仕事でなかなか帰ってこなくなってから初めて、好きだって気付いたの」

「……A」

「迷惑だってわかってる。でもこのまま押し殺すのは、アヤックスに嫌われるよりもっと辛かった。もう二度とアヤックスに会えなくなるくらいなら、思いを伝えてから顔が見れなくなる方が良かった。
「だから、テウセルがアヤックスに会いに行ったって聞いて、いろいろ教えてもらったの。どうしても会いたかった。どうしても、好きって言いたくて、ここまで来たの」

「……」

私から目を逸らすこと無く、彼は話を聞いてくれていた。これからこんなにも優しいアヤックスに嫌われてしまうのかもしれないと、拒絶されてしまうのかもしれないと思うと、悲しくて涙が溢れて止まらなかった。
ぼろぼろとこぼれる大粒の雫を拭うことはなく、ただベッドのシーツにシミを広げるだけ。
二人しかいない部屋に、私の言葉が響く。

「……好き。大好きなの、アヤックス」

その言葉に返答は必要ないはずだった。
彼が私を突き飛ばして、もう来ないでくれと、そういえば全てが終わるはずだったのに。

「A」

アヤックスは静かに、その低い声で私の名前を呼んだ。次の瞬間、彼は私をぐい、と引き寄せた。彼が私を抱きしめて、それから言葉を紡ぐ。

「俺も好きだ、A」

彼は私を抱きしめたまま、表情を見せないようにしてそういった。
顔が熱っぽくなるのがわかる。私も彼の背に腕を回し、ギュッと抱きしめる。

お互いの気持ちを、幸せを噛み締めるように、時間の進む音が部屋に響いた。