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「なんか暗くさせちゃってごめんね!」とすぐさま彼女は明るい“いつもの”姿に戻った。
そのまま夜遅くなるといけないから、と私1人を残してさっさと帰って行ってしまった。
あ、私のことは置いて行っちゃうのね。
嫌な思考をしたせいかなと思うも頭では違うと、彼女はそういう人なのだと理解していた。
中学が同じ、部活も同じ、たったそれだけの関係なのに、私達の仲はあの3年間で大きく捻れてしまって。
もう、今となってはどうすることも出来なくなってしまった。
できる事なら、あの頃の私に、私達に戻りたい…なんて、ふざけた考えだよね。
自分の甘い思考を自嘲しつつ私もベンチから立ち、また帰路に戻った。
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小さな欠伸をいくつもしながら、昭和風の家に向かって帰り道を歩いていく。
なんとなく今日は久しぶりに夏祭り以来になるAちゃんと遊びたくて、トド松の携帯を借りてLIMEを送った。無断だったけど。
でも、返ってきた内容は《ごめん、今日は私用事あるの》というお断りのもので。
普通に悲しくなってしまう。
だって俺、極度の寂しがり屋だし。
だけど用事なら仕方がないと《気をつけてな》と送って俺は1人家を出た。
行く所も特に決めず、適当にふらふらと街中を歩きながら、公園でベンチに座ってみたり、土手で寝転がってみたり、
なんの意味もない過ごし方をした。
空が赤く染まり始めた頃、そろそろ帰るかと俺は帰路を歩き始めた…はず、なのに、
「…なにやってんだ、俺」
なのに、気がつけば足は自分の家ではなく、アイツの家へと向かっていて。
頭をブンブンと振るとくるりと踵を返し、今度こそ帰路を辿り始めたところだった。
「おそ、松くん……?」
「えっ……?」
突然名前を呼ばれて目線を上にあげる。
「松野、おそ松くん、だよね…?」
「えーっと、、ごめん、どちら様、?」
目の前にいる女子の表情が曇った。
あ、俺多分今言っちゃいけないこと言ったな。
アイツとは全く違うタイプの女子高生。
…………俺が苦手とするタイプの女子。
彼女はそれを隠すように笑うと、風で微かに揺れる髪を耳にかけた。
あ、これは様になるな、、
きっとモテんだろうなぁ…
まぁ、アイツには負けるけど。
彼女がゆっくりと近づいて来る中、そんな軽い思考が俺の頭の中を過ぎ去っていく。
着々と、今のぬるま湯な高校生活が崩れていこうとしているのを、俺は、俺達は、まだ、何も知らない。
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れな(プロフ) - しっぽうさぎさん» 素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉ばかりで…書き手冥利に尽きます´ `* これからもまったり更新ですが最後までよろしくお願いします!高校時代はまだ公式さんから何も言われてなかったので、自由に想像しながら書けてたんですけど…焦ってます;; (2019年2月16日 9時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
しっぽうさぎ - 読み始めた瞬間『あ、この作品好きだ。』と感じました。久々の感覚と、久々に好みな作品を見つけられて最高に嬉しいです。関係無い話ですが、私も前におそ松さんの学生ストーリーの作品を作って、あら公式と違うわとなりました。…共感です。笑 (2019年2月14日 18時) (レス) id: dc9d359d93 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 来夢*゚さん» 初めまして。素敵な感想ありがとうございます!キュンとくる内容になってるか微妙だったのでそう言って貰えてとても安心してます。のんびり更新な感じではありますがどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします ^ ^ (2018年5月6日 6時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - 初めまして。学生特有の甘酸っぱい恋物語に当方毎回楽しみにしながらキュンキュンさせてもらってます(〃ω〃) これからも頑張ってくださいね。応援してます! (2018年5月5日 16時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
万珠沙華(プロフ) - レスありがとうございます!! (2018年4月22日 20時) (レス) id: a8300dcf2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れな | 作成日時:2018年4月19日 19時